元タレントの田代まさし氏(68)が19日に都内で7月に発売した自著「こころの処方箋」の出版イベントに出席した。過去の不祥事を乗り越え、今は再起の道を歩んでいる。今回の書籍は過去の自己啓発本とは性質が異なる。そこには田代氏自身の大きな心境の変化があったという。 ――書籍出版の経緯は 田代氏 ご存じの通り何回も失敗を繰り返しまして、合計9年くらい刑務所にいたんです。それで最後の服役を終えた時に、こんな言葉に救われたなというものが浮かんだんです。それを本にしましょうよ、とお話をいただきました。 ――これまでにも書籍は出している 田代氏 今までは啓発本というか、薬物はダメだよというものを出してきました。でも、結局俺約束守ってないんです。だから、そういう押し付けるようなものではなくて、提案というか。僕はこの言葉で元気が出ましたという俺らしい飾らないものになっています。 ――書籍の内容も変わるほどの心境の変化があった? 田代氏 年をくって、仲間たちが病気になったり、自分も糖尿病になったり、先輩が亡くなったりとか。柔和じゃないですけど、昔はもっと攻撃的でしたね。 ――どんなふうに 田代氏 例えばですけど、ライブをやって差し入れをいただきました。「それなのにあいさつがない」って先方が怒ったとする。昔だったら、「じゃあこんなもんいらねえよ」とか言ったと思うんです。でも今はもう「そんなつもりでいただいていなかったんです。すいません。お返ししますね」と謝れるようになった。 ――11日にはお孫さんも生まれた 田代氏 いやいや、そこは別で。俺は柔和なおじいちゃんじゃなくて、かっこいいおじいちゃんになりたいんだよ。だから、体も鍛え始めました。家でダンベルとかやってるんだけど、力こぶも結構できてきて。 ――これは立派ですね 田代氏 もう70だけど、ムキムキのじいちゃんになろうと思って。孫ができたって聞いたときから始めたんですよ。「おじいちゃん、筋肉すごい」って言われたらうれしいじゃん。 ――芸能界への思いも変化した 田代氏 前は早く戻って恩返ししたいと思ってたからダメだったの。その焦りが隙を生むというかね。でも徐々にテレビに出なくていいやって思ったんです。それですごく気持ちが楽になりました。 ――肩の力が抜けた 田代氏 前に進むことばかり考えてたけど、過去にもいいことあったじゃんと。人生って全部が人生。前は必ず「~しなきゃいけない」って思ってたけど、もういいやって。 ――今後目指すものなどは 田代氏 ないないないない。そういうのがよくないんですよ。設定するにしても、ハードルを低くするか、すごく高くする。低かったら越えられるし、すごく高かったらくぐれるでしょ。横から回り込んだっていい。みんな挫折するけど、横を見て休んだらいろんな道があるよ。年をくってそういう大切なことに気付いた。この本でみんなに俺はこうやって気が付いたよって教えたいんですよ。 ☆たしろ・まさし 1956年8月31日生まれ。佐賀県出身。75年に鈴木雅之らとともにシャネルズを結成。83年にラッツ&スターに改称。「め組のひと」などヒット曲を送り出した。志村けんに見いだされ、タレントとしても活躍した。2000年以降、迷惑防止条例違反や覚醒剤取締法違反でたびたび逮捕され服役した。