秋田県大仙市の住宅で18日、住人の無職・進藤藤義さん(93)が血を流して死亡している状態で発見され、当初はクマに襲われた可能性があるとされた事件が一転し、長男の無職・進藤藤行容疑者(51)が殺人容疑で翌日に逮捕されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が21日、デイリースポーツの取材に対し、見解を語った。 今回の事件について、小川氏は「現場に向かった救急隊等が被害者のご遺体を見た時に、あまりにも損傷が激しかった。凶器で一撃されて殺害されたのではなく、複数箇所を刺されていて、出血も多量で、室内もかなり荒らされていたということで、熊による被害と思われたのではないか。地域的にクマに襲われた可能性が考えられたのだと思います」と推測した。 だが、事件は急展開。19日夜、長男が父を刃物で切り付けて殺害した殺人容疑で逮捕された。 どのような流れで逮捕に至ったのか。小川氏は「検視の際に、ある程度は負傷部位等の傷の形状等から、その傷が刃物によるものなのか、クマによる傷なのかということは、早い段階で分かったのではないかと思います。なおかつ、長男を事情聴取する中で矛盾点を突いていったのかと思います」と解説した。 その背景には、クマの襲撃によって人が死傷する被害が相次いでいることもあった。 今回の事件が起きた秋田県では、7月に同県北秋田市の障害者施設に入所していた73歳の女性がクマに襲われて意識不明となり、今月20日、秋田県警北秋田署は、この女性が襲撃時のケガが原因で入院先の病院で死亡したと発表した。防犯カメラにはクマが女性を襲う様子が写っていたという。だが、今件において、加害者はクマではなく人間、しかも、息子だったという結末となった。