神戸市中央区のマンションで住人の会社員、片山恵さん(24)が刺殺された事件で、兵庫県警捜査1課の大上健二課長は23日未明に開いた記者会見で、殺人容疑で谷本将志容疑者(35)=東京都新宿区高田馬場=を逮捕したと発表した。大上課長は「地域住民や全国民に不安を生じさせる事案であった」とし、「早いか遅いかは判断できないが、一刻も早く逮捕したいと考え、何とか逮捕できた」と話した。 谷本容疑者は運送業の会社員。事件直後に新神戸駅から東京方面の新幹線に乗車した姿が防犯カメラに写っており、22日に東京都奥多摩町にいるところを確保、逮捕された。大上課長は警視庁の捜査員による逮捕時の状況について「歩いているのを発見し、逮捕できる状況になったときに逮捕した」とし、「若干暴れたようだ」と述べた。 逮捕容疑は20日午後7時20分ごろ、神戸市中央区磯辺通のマンションで、片山さんの胸部などを刃物で複数回刺して殺害したとしている。 谷本容疑者は「殺意を持っていたかは分からないが、ナイフで1回か2回ぐらい刺したことに間違いはない」と供述している。大上課長は「司法解剖の結果などから、殺意があったとみている」とした。 東京在住の容疑者がなぜ神戸で片山さんを襲ったのか。会見では2人の関係性に関する質問が相次いだ。大上課長は片山さんから、谷本容疑者に関する相談は「現在のところ把握していない」と説明。「今後明らかにするが、現時点で関係性はわからない。2人の関係性を示す情報にまだ接していない」と繰り返し、「浅いのか深いのか、一方的なのか、それ自体まだわからない。今後捜査していく」と話した。 片山さんは20日夜、勤務する神戸市内の保険会社を退勤後、店に立ち寄り、マンションに到着した。捜査関係者によると、片山さんの後をつけるように男が歩く姿や、片山さんがマンション1階のオートロックの扉を開けた後、閉まる前にすり抜けるように入る様子が周辺の防犯カメラに写っていた。