世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が韓国の最大野党「国民の力」を選挙などで不正に支援した疑惑を巡り、特別検察が捜査を本格化させている。教団幹部に事情聴取を進め、党の国会議員を統括する院内代表を6月まで務めた権性東(クォン・ソンドン)氏(65)について、政治資金法違反容疑で裁判所に逮捕状を請求した。今後、全容解明を図る。権氏や教団側は一連の疑惑を否定している。 「(旧統一教会と)いかなる不適切な関係も結んだことはない」。特別検察の事情聴取に応じた権氏は8月27日、報道陣にこう強調した。 権氏は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の側近の一人。韓国メディアによると特別検察は、2022年3月の大統領選を間近に控えた同年1月、権氏が教団の元世界本部長、ユン・ヨンホ被告=請託禁止法違反罪などで起訴=から教団への支援などを依頼され、見返りに1億ウォン(約1060万円)を受け取ったとみて捜査している。 韓国紙「東亜日報」などは、旧統一教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が大統領選の直前、ソウル市内のホテルに教団幹部らを集め、国民の力から出馬した尹氏を支持するよう説教したと報じた。尹氏は国民の力から出馬し当選した。特別検察は、選挙の運動資金に教団からの金が使われた可能性についても調べている模様だ。 また特別検察は、教団側が23年の党代表選で権氏を当選させるため、教団の信者らを集団入党させた疑いもあるとみて捜査している。代表選では党員に投票権があり、権氏は出馬を表明したが最終的に断念した。 特別検察は7月18日、国会議員会館の権氏の事務所などを家宅捜索し、携帯電話などを押収。旧統一教会の本部なども捜索した。韓総裁の秘書室長ら複数の教団幹部にも事情聴取を進めている。 権氏は特別検察の聴取に、韓総裁やユン・ヨンホ被告と会ったと認めたという。ただ「金品は一切受け取っていない」と強調した。 特別検察は8月28日に権氏に対する逮捕状を請求した。現職国会議員である権氏の逮捕には国会での同意案可決が必要。国会は与党「共に民主党」が過半数を大きく上回っており、可決の公算が大きい。可決されれば、裁判所が逮捕状発付の是非を判断する。 旧統一教会を巡っては、尹氏の妻の金建希(キム・ゴンヒ)被告(52)も、教団側からネックレスなどを受け取る見返りに教団の事業で便宜を図ったとして、あっせん収財罪で起訴された。 特別検察はもともと、金被告を巡る事件を捜査するため与党の主導で設置された経緯もあり、野党は「政治的な弾圧だ」などと強く反発している。【ソウル福岡静哉】