米国移民当局の韓国人労働者350人あまりに対する衝撃的な逮捕・拘禁事態は解決の糸口がつかめたが、いつでも再発しうるという懸念が高まっている。ドナルド・トランプ米大統領は問題解決の意志を明らかにしたが、担当官僚たちは依然として大規模な作業場に対する攻撃的な取り締まりを続ける構えだ。米国が同盟国から投資を受けたいなら、まず制度的条件をきちんと整えることを望む。 トランプ大統領は7日「我々は技術的才能を持った非常に優れた人材を『合法的に』連れてくるよう勧める。これを迅速に合法的に進められるようにする」と述べた。5日に「移民・関税執行局は自分たちの仕事をした」という発言から大きく変わった態度だ。今になってトランプ大統領が前向きな姿勢を見せた点は幸いだ。だが、トランプ大統領の言葉だけで問題を解決できるかは疑問だ。 トランプ政権の「国境管理責任者」であるトム・ホーマン氏は7日、「ジョージア州の現代自動車工場のように、事業所に対する大規模な取り締まりを多く行うのか」という質問に対し、「職場の取り締まり作戦をさらに多く行うつもりだ」と述べた。米政府が製造業復興のための外国人投資の誘致と不法滞在者の取り締まりという相反する目標の間で、依然として右往左往している状況だ。このような状態では、韓国企業が米国投資事業をまともに進めることは難しい。いつ取り締まり担当者が現れて手錠をかけ、犯罪者扱いするか分からないのに、企業が投資を決めて労働者を派遣できるだろうか。 今回の事態の根本的な原因は、米国が大規模な投資を要求しながらも、ビザ問題を解決しなかったことにある。韓国は2012年の韓米自由貿易協定(FTA)発効を機に、最大1万5千人の韓国人専門人材の就業ビザの新設を要求し続けてきた。米国はオーストラリア(年間1万500人)など他のFTA締結国には別途ビザを許可する一方、韓国には許可していない。韓国企業は、必要不可欠な技術人材を投入するため、電子旅行許可(ESTA)や短期商用ビザ(B-1)という迂回路を選んできたという。両国政府は拘禁された350人余りに対して「自主出国」の形で帰国させる案を推進するという。 米国は自国の要求で投資を進める韓国企業労働者の在留資格を保障するなど、確実な再発防止策を打ち出さなければならない。そうでない限り、造船など他の投資事業にも支障が避けられないだろう。韓国政府も、米国が企業の苦情を解決するよう、より積極的に要求しなければならない。 (お問い合わせ [email protected] )