トランプ大統領「シカゴはなぜ電話してこないのか、すぐに行動せよ」…軍投入迫る

トランプ米国大統領は8日、「シカゴの電話を待っている。われわれはシカゴを直すだろう」としながら「犯罪掃討」を名分に、米国第3の都市シカゴに対し軍兵力を投じる意向を改めて強調した。 トランプ大統領の発言直後に米国土安全保障省はシカゴで米移民・関税執行局(ICE)主導の不法移民逮捕作戦に入ったと明らかにしたし、米連邦最高裁はロサンゼルスなど行われた軍兵力を動員した「トランプ式」取り締まりをひとまず許容した。 ◇トランプ大統領「犯罪は問題ないという主張は狂ったもの」 トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスで開かれた宗教の自由委員会の会議で「われわれはシカゴに入り(不法移民犯罪を)正したい。なぜシカゴがわれわれに『どうか助けてくれ』と電話しないのかわからない」と話した。トランプ大統領は続けて「とても短い期間に50件の殺人と数百人の銃撃被害が発生したのに、州知事が『犯罪は問題ない』と話すならばそれは本当に狂ったこと」と付け加えた。 トランプ大統領の発言はシカゴに対する軍兵力投入方針に「独裁者は沈黙の中で繁栄する」として真っ向から反発しているイリノイ州のプリツカー知事を念頭に置いた言葉だ。 トランプ大統領はプリツカー知事について言及し「彼は連邦政府の助けを望まないと明らかにした。私はシカゴ住民を害するのではなく助けることを望み、ただ犯罪者だけやられることになるだろう」とした。その上で「イリノイ州住民とともにひとつになって保護を求めなければならない。手遅れになる前にすぐ行動せよ」と促した。 ◇軍に先立ちボストンとシカゴにICE投入 トランプ大統領が推進する軍兵力投入に先立ち国土安全保障省はこの日、シカゴで不法移民の飲酒ひき逃げ事故により死亡者が出た事件を取り上げ、移民取り締まりに向けた作戦を開始すると明らかにした。 国土安全保障省は声明を通じ「犯罪者と不法移民は、プリツカー知事と彼の避難所政策(不法移民者受け入れ政策)が自分たちを保護し米国の通りを自由に闊歩できるようにしてくれることがわかったのでシカゴとイリノイに駆けつけた。われわれは彼らを狙うだろう」と主張した。 国土安全保障省は6日にはボストンで「パトリオット2.0」と命名した不法移民掃討作戦に突入した。 イリノイ州知事とシカゴ市長はいずれも米国野党の民主党所属だ。シカゴは民主党所属のオバマ元大統領の政治的故郷でもある。これまでトランプ政権はロスをはじめワシントンに軍兵力を投じ、シカゴとボストンではICEが主導する移民取り締まり作戦を行っている。これらの都市はいずれも民主党の支持勢力が強い所だ。 ワシントン・ポストは「世論調査でトランプ政権の強硬な取り締まり戦略に対する支持勢力が弱まり移民問題と関連した問題がふくらんだが、民主党もやはりこの問題に対する代案を提示するのに困難を経験している」としてトランプ大統領の強硬な措置が熱烈支持層結集に向けた目的である可能性を示唆した。 ◇米最高裁、「トランプ式」取り締まりひとまず許容 こうした中、米連邦最高裁はこの日、ロスなどで不法滞在者が密集する場所を急襲して行う無作為取り締まりと逮捕に一時ブレーキをかけた下級裁判所の判断を覆し、これまでの取り締まりを続けられると判断した。 トランプ政権の取り締まり方式が憲法に違反したという理由で1・2審で裁判所が取り締まり禁止命令を下したのをひっくり返す決定だ。 この日の連邦最高裁の決定は6対3に分かれた。保守指向の最高裁判事は下級審の決定が検問権限を過度に制限し「合法的移民取り締まり努力を萎縮させるだろう」と主張したのに対し、進歩系最高裁判事は「多くの人が単純に見た目、話し方、肉体労働で生計を維持している、という理由だけで捕まり地面に投げ飛ばされ手錠がかけられた」という意見を出した。 この日の連邦最高裁の判決は緊急仮処分命令に対する決定であり、本案訴訟はカリフォルニアで進行中だ。 CNNは「この日の判決は訴訟に参加した南部カリフォルニア7つの郡に適用されるが、トランプ政権の移民取り締まりがより一層広範囲になる時期に下された。当局者は別の場所でも同様の慣行に対する暗黙的承認と解釈する可能性が大きい」と指摘した。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする