おととし中野市で4人が殺害された事件の裁判員裁判で10日から被告人質問が始まりました。 殺人の罪などに問われている男は一貫して「黙秘しますと」答えました。 弁護人「私の質問に答えられそうですか」 青木被告「全ての質問に黙秘します」 弁護人「何か話をしておきたいことはありますか」 青木被告「何もありません」 法廷で弁護人や検察から質問が投げかけられると10秒ほど沈黙したあと「黙秘します」答える青木政憲被告。 おととし5月、中野市江部で散歩中だった女性2人と現場に駆けつけた中野警察署の男性警察官2人がナイフやハーフライフル銃で殺害された事件…。 農業の青木政憲被告・34歳が殺人と銃刀法違反の罪に問われていて 今月4日の初公判では起訴内容について「黙秘します」と答えていました。 一貫して黙秘を続ける青木被告に対し検察は…。 検察 「(逮捕後の)取り調べでは自分がやったことを話しましたよね」 青木被告 「・・・・」 検察 「もう一度考えを改めて、法廷で何があったのか、何をしたのか、話してもらえませんか」 法廷で検察が青木被告に話しをするよう訴えかける場面では、涙を流す遺族の姿もありました。 一方、午前中の証人尋問で出廷したのは青木被告の父親です。2014年から青木被告に猟銃を持たせていたことについて問われると…。 青木被告の父親 「自分からこうしたいと言ってこなかった政憲が自ら申し出たことを認めたかった」 こう答え、猟友会の参加については「入るよな?」と父親から入会を勧めたということです。 猟銃の所持に必要な医師の診断結果については…。 青木被告の父親 「(青木被告から)問題ないと報告を受けて大丈夫だと感じた」 と話しました。 <報告:10日裁判を傍聴した湯本記者> ■10日の青木被告の様子 髪の毛を切って丸刈りの姿で出廷しました。裁判中は終始 目を閉じ、時折 自分で肩を揉んで、けだるそうにする様子も見られました。 被告人質問でも一貫して「黙秘します」と答えていました。 弁護人によりますと、青木被告はこれまで「ぼっち」や「きもい」という言葉に苦しめられてきた中で、裁判で何を話しても信じてもらえないという気持ちになり黙秘を続けています。10日、質問のほとんどに「黙秘します」と小さな声で答えていたのが印象的でした。 「黙秘権」とは? 『自分に不利益になることを無理に話さなくてもよい』という権利のことで憲法で保障されています。 一方で、法廷の場で反省の態度を示す機会を失うという側面もあり、必ずしも被告にとって、有利になるものではありません。 裁判は11日も、被告人質問が予定されていて、青木被告が黙秘を続けるのか事件について語るのか注目されます。