米国の移民当局によって逮捕・拘禁されていた現代自動車グループとLGエナジーソリューションの合弁によるバッテリー工場の労働者が12日午後、韓国に帰国した。今回の事態は、工場建設のために米国現地に派遣されていた韓国企業の社員が、合法的なビザを取得することが非常に難しいという「構造的制約」の中で、「便法」を用いて勤務していた中で起きた。一部に誤りがあったとはいえ、米国の「製造業復活」のために善意で働きに行っていた同盟国の国民に対してこのような処遇をするとは過酷だ。政府は今後立ち上げられる韓米の作業部会(ワーキンググループ)を通じて、韓国の労働者が「正当な待遇」を受けられるよう制度改善を要求する一方、米国も合理的解決が迅速に実現するよう最善を尽くさなければならない。 米国移民・関税執行局(ICE)の奇襲取り締まりで逮捕・拘禁されていた316人の韓国人と14人の外国籍者の計330人を乗せた大韓航空のチャーター機(KE9036)は12日午後3時30分ごろ、仁川(インチョン)国際空港に到着した。彼らは米国ジョージア州アラベルのバッテリー工場建設現場に派遣されていたが、今月4日に米国の移民当局の大々的な不法滞在者取り締まりで逮捕・拘禁されていた。 彼らは「取得はほぼ不可能」と言われる米国の「専門職ビザ(H1B)」や「一般駐在員ビザ(L1)」が取れなかったため、「短期商用ビザ(B1)」や「ビザなし電子旅行許可(ESTA)」などで工場の建設作業にあたっていた。米移民当局はこのような事情をよく知りながら、合理的に問題を解決するのではなく、装甲車やヘリコプターなどを用いて300人を超える同盟国の国民に手錠をかけ、鎖でつないで監禁した。李在明(イ・ジェミョン)大統領が11日に述べたように、今回の事件は韓国企業による「今後の対米直接投資にかなり大きな影響を」及ぼさざるを得ない。 残念なのは、相も変わらぬ米国の認識だ。ハワード・ラトニック商務長官は11日の米ネットメディア「アクシオス」のインタビューで、韓国の労働者たちは「観光ビザで入国して、この工場で働いていた。現代自動車はグローバル企業として十分に正式なビザを発給してもらえるのだから、社員に適法なビザを与えるべきだった」と述べた。今回の事態をすべて韓国側のせいにしたわけだ。一方でCNBCなどは「トランプ大統領は、米国内に大規模な工場を建設する際、各国と協議して彼らの建設熟練人材に短期就労ビザを与えることを検討中」と報じている。 韓米の外交当局は近く作業部会を立ち上げ、この問題の解決を図っていく予定だ。韓国国籍を有する専門職の従事者に年間で最大1万5千のビザ(E4)を発給する「韓国パートナー法」などが、具体的な代案として取り沙汰されている。米国当局は、このような制度的な支援がなければ自国内の製造業の復活も遅れざるを得ないということを肝に銘じるべきだ。 (お問い合わせ [email protected] )