完工ずれこむLGエナジーソリューション米工場「補助金は時間が命なのに…」

米ジョージア州の現代自動車グループとLGエナジーソリューションの合弁工場で韓国人労働者300人以上が逮捕・拘禁された余波で工場建設再開時期が不透明な中、業界では時間が過ぎるほど影響がさらに拡大するだろうと懸念する。バッテリー工場は時間が命だが、工場稼動日程が相当期間遅れる場合、米インフレ抑制法にともなう補助金が大幅に縮小されかねない。韓米政府間のビザ制度改善交渉がスピードを出さなければならないという指摘が出る。 業界によると、LGエナジーソリューションは米国に滞在中の短期商用ビザ(B1・B2)所持者に出勤中断の指針を持続している。拘禁された社員(協力会社含む)は12日から来月の秋夕(チュソク、中秋)連休まで有給休暇中だ。会社はビザ問題が解決されるまで、必要な顧客ミーティングを除いた米国出張を最小化する方針だ。事実上政府間交渉の結果だけ待つほかない状況だ。工場建設中断が長期化しかねないという懸念が出ている。 現代自動車のホセ・ムニョス社長はジョージア州の合弁工場について「最小2~3カ月の工事遅延は避けられない」と明らかにしたが、証券業界では1年以上遅れるかもしれないというさらに悲観的な予想も出ている。当初この工場は今年末に完工し、来年初めの量産開始が予想されていた。元大証券のイ・アンナ研究員は「設置と試運転の段階で核心人材がいなくなり来年の量産は事実上不可能だ。外交的解決がなければ空白を埋める方法はなく、1年以上の量産遅延は避けられない」と予想した。 これに伴い、来年LGエナジーソリューションの売り上げ減少と補助金縮小、金融費・固定費負担増加などが懸念される。特にインフレ抑制法内の先端製造生産税額控除(AMPC)は2032年に終了予定だが、バッテリー量産が遅れればそれだけ恩恵が減るほかない。電気自動車の需要停滞で収益の相当部分をAMPCに依存するLGエナジーソリューションの場合、打撃が大きい。LGエナジーソリューションの4-6月期のAMPC金額は4908億ウォンで、これを除いた営業利益は14億ウォンにすぎなかった。 証券業界ではLGエナジーソリューションの米工場が相次いで完工しAMPCの恩恵が今年1兆7000億ウォン台で来年2兆6000億ウォン台に上昇すると見込み、ジョージア州工場の生産量でも数千億ウォンの恩恵を得られると予想してきた。だがこうした予測もやはり修正が避けられなくなった。LS証券のチョン・ギョンヒ研究員は「ジョージア州工場建設への影響が避けられず、来年から予定された現代自動車の米国販売台数が減るだろう。LGエナジーソリューションの来年の収益推定値を下方修正する」と明らかにした。 AMPCの恩恵のほかにジョージア州工場はLGエナジーソリューションが北米の顧客を多角化するという意味もあった。現在LGエナジーソリューションの北米販売はゼネラルモーターズ(GM)に60%以上集中している。ジョージ州で現代自動車と合弁工場を運営し現代自動車向けの米販売を拡大できると期待したが痛恨の状況だ。 韓国のバッテリー企業は1日も早くビザ制度が改善されなければならないと口をそろえる。特にB1ビザに対する韓米間の解釈の違いが大きい。これまでバッテリー企業等はB1ビザに対し「装備設置、教育、会議出席」などがすべて可能になるものと考えてきた。米国務省の外交業務マニュアルに従い、在韓米国大使館とも疎通した結果という説明だ。それでも今回拘禁された韓国人317人のうち146人はB1・B2ビザを所持していたことがわかった。 バッテリー業界関係者は「長期的に米国事業の不確実性が大きくなったのは韓国のバッテリー企業みんな同じ。被害額が雪だるま式に大きくなる前に両国間のビザ制度改善が早くなされなければならないだろう」と話した。

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