3年前の銃撃事件で死亡した安倍晋三元首相の妻昭恵さんが23日、大阪市内で開かれたイベントに参加し、「主人が亡くなり悲しいけれど、恨みは持ちたくない」と語った。 安倍氏は2022年7月8日、奈良市で参院選の応援演説中に銃撃された。山上徹也被告(45)が現行犯逮捕され、殺人などの罪で起訴されている。 イベントは、刑務所の出所者や薬物依存者らを支援する一般財団法人「ワンネス財団」(本部・沖縄県)が主催。昭恵さんは「生きがいと生きる」と題したパネルディスカッションに登壇した。 昭恵さんは銃撃事件に話が及ぶと涙を見せ、「相手を恨んだり、憎んだりするのではなく、どうしたらより良い社会になるかを考えたいと思う」と述べた。 安倍氏は「再チャレンジ」を掲げ、誰もが人生をやり直せる社会の実現を目指していた。昭恵さんも刑務所を訪問するなどし、受刑者と今も文通を続けていることを明らかにした。 昭恵さんはこうした交流を踏まえ、「遺族となった私の話が相手に響き、二度と罪を犯さないと思ってくれたら私も生きていく意味があると思う」。「どんな罪を犯した人でも改心できる。それを応援したい」とも語った。 捜査関係者によると、山上被告は母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)にのめり込んで家庭が崩壊し、教団に恨みを抱くようになったという。来日した教団の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁の襲撃を計画したこともあったが、安倍氏が教団の活動を国内で広めたと考え、標的を切り替えたとされる。被告の公判は10月28日に始まる。【岩崎歩】