韓国当局、旧統一教会信者の集団入党疑惑も捜査 米保守派を巻き込み社会の分断深まる

【ソウル=桜井紀雄】韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が逮捕された韓国の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡っては、教団が尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権時代の与党に信者を集団入党させ、党代表選に介入しようとした疑いでも捜査が進んでいる。長年指摘されてきた新興宗教団体と政界の癒着疑惑にどこまで捜査のメスが入るかが注目されている。 ■信者11万人が党員か 特別検察官チームは18日、尹政権時代の保守系与党で現最大野党「国民の力」の党員名簿を管理する会社を家宅捜索した。韓国メディアによると、約500万人の党員名簿と、教団の捜索で得られた信者約120万人の名簿を照らし合わせたところ、約11万人が同一人物とみられることが判明した。 教団は同党代表を選ぶ2023年の党大会までに、尹前大統領の最側近で教団が推す権性東(クォン・ソンドン)国会議員を代表に選出させるため、信者を集団入党させた疑いが持たれている。権氏は当時出馬はしなかった。 ■「政教分離」に違反も 革新系与党「共に民主党」は疑惑について、「政教分離」に反しており、立証されれば「国民の力は政党解散が避けられない」と非難。国民の力は、党員に信者が十数万人いても不自然ではないと主張し、「野党弾圧だ」と反発を強めている。 捜査チームは尹氏の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏への高級ブランド品贈与疑惑などと合わせ、教団が「韓氏の意向に沿って国家が運営されるべきだ」とする〝政教一致の理念〟を実践するため、尹前政権側に接近したとみている。 ■革新系を敵視の傾向 旧統一教会などキリスト教から派生した韓国の保守系宗教団体は、「反共産主義」の立場から保守系の政権や政党を支持し、革新系を敵視する傾向があった。尹氏による昨年12月の「非常戒厳」宣布後、尹氏の弾劾に反対する数万~十数万人規模のデモを主導したのもこうした複数の宗教組織だった。 李在明(イ・ジェミョン)政権の発足後、デモを主導した別の教会の牧師も公職選挙法違反などの疑いで逮捕されており、尹前政権を支持した宗教組織への捜査が進む。 ■捜査を非難する米保守派

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