大阪府岸和田市発注の工事を巡る汚職事件で、大阪地検特捜部に収賄や官製談合防止法違反などの疑いで再逮捕された前市長、永野耕平容疑者(47)から入札情報を漏洩(ろうえい)されたとされる業者側が、対象工事2件をいずれも最低制限価格と同額で落札していたことが25日、分かった。特捜部は業者側の立件についても慎重に捜査している。 2件は、令和3年8月と昨年5月に入札が行われた水道管の取り換え工事。永野容疑者はそれぞれの入札前、非公表の最低制限価格を市内に本店を置く建設業者の社長(今年7月に辞任)に伝えたほか、便宜供与の見返りに社長側から融資名目で計1900万円を受け取ったとされる。 市の入札記録によると、3年8月の入札には5つの共同企業体(JV)が参加。この業者が加わるJVが最低制限価格と同額の9億6603万4千円(税抜き)で落札した。次点とは1万4千円差で、別の2JVは最低制限価格を下回り失格となった。 昨年5月の入札も、この業者のグループ企業が最低制限価格と同額の1億3425万8千円(同)で落札。応札した12業者のうち4業者が失格となるほど、激しい競争が繰り広げられた。 市によると、2件の工事とも水道関係では事業費が高額だったという。特捜部は確実に落札するには正確な価格情報が必要だったとみて、業者側の働きかけや漏洩の経緯などを調べている。