【ヤマヒロのぴかッと金曜日】 22日の新聞各紙の1面に掲載された自民党総裁選の写真を見て鼻白む思いをした人も多かったのではないだろうか。まるで一年前のカーボンコピー。立候補者の数が減っただけだ。耳あたりの良い公約を並べられても何も響かない。期待も持てない。新聞もテレビもよくこんなことにエネルギーを費やすもんだ、とシラけた気分でペラペラ紙面をめくっていたら産経の社会面の特集記事が目に入った。 『ストリップ劇場 摘発の訳』 老舗のストリップ劇場「天満東洋ショー劇場」の経営者やダンサーらが、昨年公然わいせつ容疑で逮捕された。行政処分により来年1月まで営業停止を命じられている。ストリップ劇場は風営法で「性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行」と規定され、法律で認められている。 この劇場もちゃんと届け出をしていたが、今回の摘発となった。記事によると「ステージ上で陰部を露出するかどうかが、わいせつの大きな基準となる」らしく、舞台上で長時間、下半身をライトで照らすこともあったそうだ。劇場の経営者は「客も喜ぶし、売り上げも多くなるので、陰部を露出するショーをしていた」と供述しているらしい。ワッチャー、やっちまったか!!確かに長時間はマズいかも。うまく隠したはずが何かの手違いで…くらいなら警察も弱いものイジメのようなことはしなかったと信じたい。 あるいは、かつて一世を風靡(ふうび)したドリフターズ・加藤茶さんの「ちょっとだけよ~」の範囲にとどまらず、客の求めに応じるうちにやり過ぎてしまったのかもしれない。だがしかし。学歴詐称を疑われ、卒業証書とされる書類を19・2秒だけチラ見せした伊東市の市長が取ったゲスな行動とは違い、こっちのチラ見せは『明日への活力』となるのだ。 これまでストリップ劇場の摘発は「わいせつか芸術か」が裁判でも争われ、最高裁が公然わいせつと認めた事案もあるが、私は断固、芸術派。磨き抜かれた身体で、ムード音楽に合わせ、艶かしく踊るプロの技ほど色っぽいものはない。感動ものである!と今回はバッシング承知で言い切らせてもらう。つまらん批判は受け付けるつもりはない。むしろ、それを職業としているダンサーに失礼だ。 昔、ロケ先のバンクーバーで、タレントさん達と見たストリップショーも圧巻だった。あの時はステージが広すぎて、美人ダンサーが離れてしまうと臨場感が薄れてしまうので何かうまい方法はないかと考えた末、水でぬらしたおでこにドル紙幣を貼り付けて「こっちこっち!チップ、チップ!」とやったら、それが功を奏して私たちの方に来てくれた。ステージを挟んで反対側に陣取っている白人グループや他の客もまねし始めたが、美人ダンサーにははげ頭の東洋人が一番ウケていたように思う。 それはともかく、芸術性を重視したストリップ劇場には「憩いの殿堂」としてこれからも頑張ってほしいものだ。実はこれまで天満東洋ショー劇場には行ったことがなかったが、再開したら、ちゃんと規則を守っているかどうか私が代表して視察に行って来よう。(元関西テレビアナウンサー) ◇山本 浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。