中国の裁判所は29日、ミャンマーで詐欺施設を運営していた悪名高い一族の11人対し、死刑判決を下した。中国国営メディアが報じた。 ミン一族をめぐっては、犯罪行為に関与したとして親族数十人が有罪判決を受けていた。その多くは長期刑を言い渡されている。 ミン一族は、中国国境に近いミャンマーの田舎町ラウカイを支配する四つの氏族の一つに仕え、ラウカイを賭博や麻薬、詐欺の拠点へと変貌させたとされる。 ミャンマーは取り締まりを強化し、2003年にこうした一族のメンバーの多くを逮捕。中国当局に引き渡していた。 中国国営メディアの中国中央電視台(CCTV)によると、中国東部の温州市で29日、ミン一族の計39人に量刑が言い渡された。 11人が死刑判決を受けたほか、5人に2年の執行猶予付きの死刑判決、11人に終身刑、そのほかには5年から24年の禁錮刑が言い渡された。 裁判所は、ミン一族と複数の犯罪グループが2015年以降、通信詐欺や違法カジノ、麻薬密売、売春などの犯罪活動に関与していたと認定。100億元(約2000億円)以上を稼いでいたとした。 過去には、四つの一族がそれぞれ運営するカジノが、年間数十億ドルを扱っていると推計されていた。 裁判所はまた、ミン一族とほかの犯罪グループについて、詐欺施設における複数の労働者の死亡にも関与していたと認定した。これには、中国へ帰国しようとする労働者を銃撃した事案も含まれる。 ラウカイのカジノは当初、中国国内の違法賭博への需要に乗じようと開発された。やがて、マネーロンダリング(資金洗浄)や人身売買、数十の詐欺施設へと変化した。 この町は、国連が「詐欺パンデミック」と呼ぶ動きの中心地とされる。10万人以上の外国人(多くは中国人)が詐欺施設に誘い込まれ、事実上の監禁状態に置かれて長時間労働を強いられる。ここでは、世界中の人を標的とした高度なオンライン詐欺が行われている。 ミン一族はかつてはミャンマー・シャン州で最も影響力のある一族の一つで、ラウカイで少なくとも1万人の労働者を抱える詐欺施設を運営していた。最も悪名高い施設では、労働者が日常的に殴られたり拷問を受けたりしていた。 2年前、複数の反政府武装勢力が攻勢をかけ、ミャンマー軍をシャン州の広範囲から追い出し、ラウカイを支配下に置いた。これらの勢力に対して強い影響力を持つ中国が、この攻勢にゴーサインを出したと見られている。 ミン一族の長であるミン・シュエチャン氏は自殺したと報じられている。一族のほかのメンバーは中国当局に引き渡された。何人かは反省の弁を述べている。 詐欺施設の労働者数千人も中国警察に引き渡された。 今回の判決は、中国が国境地帯で横行する詐欺ビジネスを厳しく対処していることを示している。今年初めには、中国政府の圧力を受けたタイが、ミャンマー国境の詐欺施設を取り締まった。 それでも詐欺ビジネスは形を変えて続いている。その多くは現在、カンボジアを中心に活動しているが、ミャンマーでも依然としてまん延している。 (英語記事 China sentences 11 members of mafia family to death)