化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件を受け、最高検は3日、全国8高検を巡回して反省点を説明する取り組みを始めたことを明らかにした。高検での説明会には地検幹部らもオンラインで出席し、消極証拠の慎重な検討や、保釈請求に対する具体的な検討を全国に浸透させたい考え。10月中をめどに終える予定。 最高検は8月に検証報告書を公表。主任検事による警視庁公安部に対する消極証拠の確認が不十分だった▽上司も問題意識を持たなかった▽保釈が認められないまま病死した元顧問の保釈請求には、胃がんが見つかった後はあえて反対しないなどの柔軟な対応を取ることが相当だった――などを反省点とした。 その上で、再発防止策として最高検が検証内容を全国に説明に回るほか、東京地検が公安部と定期的に意見交換会を開くことを挙げていた。 大川原化工機の社長ら3人は2020年3月に外為法違反容疑で逮捕・起訴され、初公判4日前に起訴が取り消された。大川原側は国家賠償訴訟を起こし、東京高裁は25年5月、必要な捜査を怠った公安部の逮捕と地検の起訴を違法と認定し、確定した。【北村秀徳】