無実を訴える人の早期救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)に関して、臨時国会で議員立法による改正実現を求めるオンライン署名が行われている。10日には、署名数が7000人を超えた。再審(やり直しの裁判)で無罪が確定した袴田巌さん(89)の姉ひで子さん(92)も「議員立法を後押ししていただきたい」とコメントを寄せている。 再審法の改正を巡り、超党派の国会議員連盟が証拠開示の法制化▽再審開始決定に対する検察官上訴の禁止ーなど喫緊に手当てが必要な4項目に絞った改正案を作成。自民党の手続きが進まなかったため、野党6党が先の通常国会で共同提出し、継続審議となった。 一方、法相の諮問を受けた法制審議会の専門部会も改正の在り方について検討している。ただ、部会の委員に冤罪(えんざい)の当事者や一般の有識者は含まれていない。これまでの部会の議論状況を踏まえ、弁護士や支援者からは望んでいる改正にならないとの懸念が聞かれ、むしろ「改悪になる」との声が強まる。 衆参議長宛てのオンライン署名は今月、署名サイトの「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で始まった。無罪の確定までに逮捕から58年、再審を請求してから43年を要した袴田さんに言及し、一刻も早い改正が必要だとして議員立法を要請する。 署名数は7000人を突破したが、袴田さんの弁護団が検察に対して再審公判での有罪立証方針の撤回を求めたオンライン署名の約5万1700人に比べればまだ少ない。呼びかけ団体の一つ「冤罪犠牲者の会」(東京)の野島美香さんは「国会議員に自信を持って議員立法を進めてもらえるよう応援したい」と話し、賛同の広がりを期待している。