医師免許がないのに医療行為をしたとして、大阪府警は30日、大阪市大正区の会社役員、原田伸一容疑者(66)を医師法違反の疑いで逮捕した。無資格でがん治療に関するワクチン接種の問診や薬の処方などを繰り返していたとみられる。 逮捕容疑は、2024年9月上旬から25年4月下旬までの間、医師ではないにもかかわらず、大阪市北区のがん治療専門クリニックで問診などの医療行為をしたとしている。認否を保留している。 府警国際捜査課によると、原田容疑者は24年9月からクリニックに採用された。院長として20~90代の患者169人に400回以上問診するなどしていたという。ワクチンの注射などは看護師に指示していた。現時点で医療行為による健康被害は確認されていない。 採用時には「京都大学医学部卒業」「京都大医学部付属病院勤務」などと経歴を偽っていた。医師免許も「紛失して再発行中」などと説明していた。クリニック側は容疑者が本物の医師だと信じ込んでいたという。 府警が中国人らによる在留カードの偽造事件を捜査する過程で、関係先から原田容疑者の偽造された医師免許の画像などが発見され、捜査を進めていた。【川地隆史】