N党党首・立花孝志容疑者を送検 元県議への発言「争わない」と供述

斎藤元彦・兵庫県知事らの疑惑を県議会で調査していた元県議の竹内英明さん(当時50歳)を中傷したとして、兵庫県警は9日、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)を名誉毀損(きそん)の疑いで逮捕した。立花党首の根拠のない発信がきっかけとなり、交流サイト(SNS)で大量の誹謗(ひぼう)中傷が相次いだとして、竹内さんの妻が今年6月に刑事告訴していた。県警は発言の意図や目的について本格的に追及する。 県警は立花党首の認否を明らかにしていない。捜査関係者によると、「竹内さんに関して発言したことは争いません」などと話しているという。 竹内さんは斎藤氏のパワハラ疑惑などを調べる「県議会調査特別委員会(百条委)」の委員を務めていた。立花党首は斎藤氏の失職に伴う出直し知事選(2024年11月)に斎藤氏の再選を支援する「2馬力選挙」の目的で立候補。疑惑告発の文書作成に関わったとして竹内さんを非難していた。竹内さんはSNSで中傷され、11月に県議を辞職。今年1月に自宅で死亡しているのが発見された。自殺とみられる。 立花党首の逮捕容疑は昨年12月中旬、自身が立候補した大阪府泉大津市長選の街頭演説で「何も言わずに去っていった竹内議員は、めっちゃやばいね。警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」などと発言したとされる。 さらに竹内さん死亡後の今年1月中旬にはSNSなどで「竹内元県議は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました」「竹内元県議は、どうも明日逮捕される予定だったそうです」とうその情報を投稿。これらの発信で竹内さんの名誉を傷つけたとしている。 県警幹部の一人は9日、県警が竹内さんに事情を聴いたことはなかったと説明。立花党首の竹内さんに関する発信内容は「事実無根で、(立花党首自身が)真実と信じるに足りる相当な理由もなかった」と強調した。 立花党首の発信内容は当時の県警本部長も全面否定しており、その後、立花党首も発信内容が間違いだったと認めた。 立花党首は、田久保真紀前市長の失職に伴う静岡県伊東市長選(12月7日告示、14日投開票)への出馬を表明していた。兵庫県警幹部は「政治活動に関しては最大限尊重されるべきだと認識している。その上で具体的に逃亡、罪証隠滅の恐れがあると判断した」と逮捕理由を語った。 立花党首は逮捕前、「(名誉毀損罪の)違法性が阻却される根拠を持って発言している。不起訴、あるいは起訴されても無罪になると確信している」と語り、名誉毀損には当たらないとの見解を示していた。 県警は10日、立花党首を送検した。【木山友里亜、柴山雄太、林みづき】

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