名古屋市の観光プロモーション事業をめぐる贈収賄事件で、愛知県警に収賄容疑で逮捕された元同市観光交流部担当課長の大塚勝樹容疑者(62)が、自身の出張先での飲食代や宿泊費などの名目で業者側から賄賂を受け取っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。業者側に領収書を示して、会社経費として処理させていた。市が負担する費用と「二重取り」のケースもあったという。 捜査関係者によると、大塚容疑者は出張先での飲食代やタクシー代、宿泊費の領収書などを広告会社「ニック」(同市)の取締役桑原清美容疑者(54)=贈賄容疑で逮捕=に示した。桑原容疑者は同社の経費として処理し、現金で大塚容疑者に手渡すなどしていた。領収書はメールなどでやり取りしていたという。 大塚容疑者は、同担当課長などに就いていた2023年3月ごろ~24年12月ごろ、市発注の観光プロモーション業務委託でニック社を選定するなどの便宜を図る見返りに、飲食代金など計約43万円を同社に負担させたとして、8日に県警に逮捕された。 県警は、同社側で経費で処理されたものについて、実際は便宜に対する謝礼の意図があったとみている。(石垣明真、高橋俊成) ■名古屋市役所を家宅捜索 愛知県警は9日、大塚容疑者が3月末まで勤務していた名古屋市役所を家宅捜索した。午前9時ごろ、捜査員約10人が本庁舎(中区)に入った。捜索は約1時間半にわたり、押収物が入った段ボールを次々と運び出した。県警は契約関係の書類などの押収資料を分析し、実態解明を進める。県警は同日、大塚容疑者を収賄容疑で、桑原容疑者を贈賄容疑で名古屋地検に送検した。(鎌形祐花)