アルピーヌのファクトリーで謎の侵入事件が発生! 物的損害はなし、産業スパイの疑いも

フランスのヴィリー・シャティヨンにあるアルピーヌF1のファクトリーにふたりが侵入する事件が発生。ドアをこじ開けて何も奪わずに逃走した。警察は産業スパイの可能性を捜査している。 2026年のレギュレーション変更に対処するためとはいえ、早めに今季マシンの開発を切り上げたアルピーヌ。シーズン終盤に、それもサーキットではない場所で思わぬトラブルに見舞われた。 ル・パリジャン紙によると、11月10日(月)の夜10時頃、2人組がチームのエンジン開発拠点であるヴィリー・シャティヨンのファクトリーに侵入したという。 彼らはロビーの窓を破って建物内に侵入し、管理事務所がある最上階まで直行して複数のドアをこじ開け……わずか5分後に逃走した。 この事件で最も不可解なのは、彼らが何も持ち去らなかったことだ。警察の初期捜査では、盗難された物品や書類、機器は発見されなかった。 「何も盗まれていない。すべて順調だ。当時、従業員は現場にいなかった」と、捜査関係者はル・パリジャン紙に語った。 エヴリー地方検察庁は捜査を開始し、地域犯罪対策部が事件を担当している。科学捜査班は既に現場で活動しており、防犯カメラ映像や指紋を調査、侵入の動機解明に努めている。 今のところ逮捕者は出ていない。侵入者はA6高速道路脇の脇道から出入りし、ごく短時間しか建物内に留まっておらず、建物をよく知っている様子だったという。 侵入者たちが目的地を把握していた上で、目に見えるものを何も盗んでいなかったという事実は、様々な憶測を呼んでいる。当局はあらゆる仮説を否定していないが、産業スパイという見方が有力視されている。 F1がスパイ事件に巻き込まれるのは今回が初めてではない。フェラーリの機密情報を使用したとしてマクラーレンが1億ドルの罰金を科せられた2007年の「スパイゲート」スキャンダルの記憶は、いまだにパドックで鮮明に残っている。 今は各F1チームが2026年の新レギュレーションに備えて開発を進めている重要な時期。侵入者が特に機密性の高い技術文書や設計図、開発データを探していたのかどうかを捜査官らは突き止めようとしている。 侵入者の動機が産業スパイだったことが確認されれば、F1パドックで新たな論争が巻き起こる可能性がある。今シーズンを犠牲にして、来季に全力を注いでいたアルピーヌのアイデアを盗もうとした誰かがいるのか……捜査の進展を待ちたいところだ。

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