令和4年7月の安倍晋三元首相銃撃事件で殺人罪などに問われている山上徹也被告(45)の裁判員裁判の第8回公判が18日、奈良地裁で行われ、2日間にわたる母親の証人尋問が終了した。一連の尋問を終え、退廷しようとした母親が突然、「てっちゃんごめんね」と発言。尋問以外での〝不規則発言〟で、裁判長から制される場面もあった。 母親への尋問では、傍聴席から姿が見えないよう遮蔽措置が取られており、入退廷の際には、180センチほどの衝立が設置されている。 弁護側、検察側そして、裁判所側の全ての尋問が終了した午後4時25分ごろ、裁判所の職員が退廷する母親のために衝立を準備している間、母親の声が突然、法廷内に響いた。 「徹也には本当に申し訳なかったと思っています」 尋問中以外での発言は禁じられている中での想定外の発言に、裁判長はすでに発言の機会は終了していることを説明。これを受け、一度は発言をやめた母親だったが、衝立の準備が終わり、退廷の時間が近づくと、再び声が響いた。 「てっちゃん、ごめんね」 関係者によると、山上被告の逮捕後、母親は複数回、面会を申し込んだというが、いずれも被告が拒否。そうした中、事件後初めて対面した息子に謝罪の言葉を伝えた。しかし、二度目の不規則発言に裁判長から「ここはあなたの話をするところではない」と制されると、「ありがとうございました」と口にして法廷を後にした。 山上被告は発言の間、母親に目線を向けることはなく、無表情だった。