「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市山科区)の社長だった大東隆行さん=当時(72)=が2013年に射殺された事件で、殺人と銃刀法違反の罪に問われた特定危険指定暴力団工藤会系組幹部田中幸雄被告(59)の初公判が26日、京都地裁(西川篤志裁判長)で開かれた。田中被告は罪状認否で「私は決して犯人ではありません」と述べ、無罪を主張した。 ◇ 殺人の罪などで起訴された特定危険指定暴力団工藤会系組幹部、田中幸雄被告(59)は、落ち着いたそぶりで初公判に臨んだ。紺色のスーツ姿に白ワイシャツで、足下はサンダルで弁護人の前に座った。 罪状認否の手続きが終わるころ、検察官の後ろに座っていた遺族とみられる女性が「お父さんを返せ」「工藤会なら人を殺していいんか」と大声で叫んだ。西川篤志裁判長の指示で女性が退廷し、田中被告も一時退廷した。 京都地裁で最も広い101号法廷は、不測の事態に備えて傍聴席との間に高さ約2メートルの透明なアクリル板が設けられ、物々しい雰囲気に包まれた。法廷前では職員が手持ちの金属探知機を使い、傍聴人の所持品検査を入念に実施。ペンや携帯電話の持ち込みは制限された。 王将社長射殺事件の経過 2013年12月19日 京都市山科区の王将フードサービス本社前で社長だった大東隆行さんが射殺される 14年春 京都府警がバイク2台押収。うち1台のハンドルから硝煙反応 15年12月 現場近くで見つかったたばこの吸い殻に付着したDNA型が、特定危険指定暴力団工藤会系組幹部の田中幸雄被告のものと一致したことが明らかに 16年3月 同社の第三者委員会が調査報告書を公表。特定の企業グループ経営者と不適切な取引を続けていたと指摘 22年10月28日 府警と福岡県警の合同捜査本部が殺人容疑などで田中被告を逮捕。後に起訴 24年2月7日 公判前整理手続きが開始 25年11月26日 京都地裁で初公判