ドラマストリーム「スクープのたまご」(毎週火曜深夜0:58-1:28、TBSほか/TVerにて配信あり)の11月25日放送の第8号(本作では、「話」ではなく、週刊誌にちなんで「号」と表記)で、連続不審死事件の3人目の被害者・谷岡真紀子の友人の“ニコちゃん”に会った日向子(奥山葵)は、「他人の不幸に群がって何が“真実”だ」と『週刊千石』を否定する彼に、自分の仕事の意義を涙ながらに訴えた(以下、ネタバレがあります)。 ■スクープと向き合い、記者として成長していく姿を描く 本作は、大崎梢氏原作の同名小説をドラマ化。大手出版社の「週刊千石」編集部に異動となった入社2年目の信田日向子が、芸能ネタや横領、不審死事件など、さまざまなスクープと向き合い、記者として成長していく姿を描いていく。有名週刊誌への綿密な取材によるリアリティー満載の描写で、週刊誌編集部の裏側ものぞけるようになっている。 ■ついに“ニコちゃん”と対面…? 「谷岡真紀子」として婚活パーティーに潜入する事はできたが、顔も本名もわからない“ニコちゃん”に会うには、向こうからの接触を待つしかない。なす術もなく、酒を飲みながらほろ酔いでベンチでぼんやりしていると、母親から電話が。バッグをベンチに置いたままその辺をブラブラしながら、退屈しのぎにしばらく世間話に付き合った後、ベンチに戻ると、バッグの中に「話があります。2階のチャペルに」と書かれた名前の無いメモが入っていた。 「ニコちゃんだ!」。日向子は緊張しながらチャペルに向かった。すると、そこにはサングラス姿の男性(小西詠斗)が彼女を待っていた。男性は、目が不自由で明るい場所が苦手な為、サングラスをしたままでいる事を詫び、チケットは谷岡から譲り受けた物で間違いないか、チケット以外に何か預かっているものはないかと尋ねた。先輩記者の村井(夙川アトム)から「ニコちゃんが谷岡から預かった物を受け取ってくるように」と言われていた日向子は話がヘンだと思い、「それはこっちが…」と言いかけたが、男はそれを遮るように「封筒などがあれば、見せてほしい」と続けた。 ■“ニコちゃん”がもう1人!? 「普通の封筒ですよ…」と言いながら日向子がバッグを探っていると、彼女の電話が鳴った。知らない番号からのその電話に出ると、相手が「あなた、信田日向子さんね?」と言った。「そうですけど…」と答えていると、サングラスの男が「誰ですか?」と聞いてきた。「わかんないです。男の人だと思います」とバカ正直に答える日向子に、焦り気味に「封筒…」と催促するサングラス。彼女は、待つようにサングラスに言って、電話の主に誰かと尋ねると、「ニコちゃん。って言えばわかる?」と返事が。 「えっ…!?」。では目の前に居るサングラスは誰!?…日向子がそう思った瞬間、サングラスは彼女の手から力づくで封筒を奪い、走り去った。男を“ニコちゃん”と思い込んでちゃんと確かめることもせず、無防備に電話の相手が誰とか封筒を言われるままに出そうとするとか、警戒心がなさすぎる。日向子の純粋で素直なところは、時に相手に好感を持たれて心を開かせる“武器”にもなるが、このように1つ間違えば非常に危険な事態を招く“諸刃の刃”だ。 ニコちゃんと電話を続けながら日向子は必死でサングラスを追いかけた。が、結局、封筒を持ったまま逃げられてしまった。息を切らしながら落胆する日向子の元へ、「あなたが信田さんなの?」と電話を片手に男性が近づいてきた。彼が本物の“ニコちゃん”(宮澤佑)だった。 ■「いい金ヅルを掴んだ」谷岡真紀子 ニコちゃんは、谷岡と10代の頃からの友人の歯科医。「玉の輿に乗る」が口グセだった彼女がこの婚活パーティーのチケットを取り、付き合いで一緒に来る予定だったが、谷岡は「いい金ヅルを掴んだから」と出席をやめたのだそう。「口止め料をせしめる」とも話し、自分にもし何かあれば…と、ある物を彼に預けたのだった。谷岡は、誰かの重大な秘密を知ってゆするつもりだったようだ。 サングラスの男が、その“ある物”を奪いに来た非常に危険な人物だったと気付いた日向子は、男と遭遇して顔を見られていたら危なかった、とニコちゃんを気遣った。日向子の言葉を聞いて、彼は「本当に週刊誌の記者?」と驚いた。記者なら「預かった物を見せろ」と言うのが先なのに、まず身の安全を気にかけるなんて…と、日向子の“素人っぽさ”に、ニコちゃんは好感を持った。 ■ゴシップ週刊誌に何ができるの!? 彼は、サングラス男を追いかけた際にケガをした日向子を、手当てする為に自分の病院に連れて行った。処置が終わり、彼女を帰そうとしたニコちゃんに、日向子は谷岡から何を預かったのかと思いきって尋ねた。「スクープの為に知りたいんだよね?」と口を閉ざす彼に、日向子は、被害者の遺族や友人は事件の真相を知りたいと願っているのだ、と必死で訴えた。だが彼は「捜査権限もないゴシップ週刊誌が事件に首を突っ込んで何ができるの!?」と厳しい言葉をぶつけた。彼女はこれまでに浴びせられた「それで金儲けして最悪だ」「クズ人間」などの罵声が蘇ってきた。そして、その全ての言葉に向かうように大声で言った。「確かに、私は出版社の人間です。法にのっとって犯罪者を逮捕するのが仕事じゃない。でも、この世の真実を確かめて、読者に伝えるのが仕事なんです!」 ■日向子の涙の訴え ニコちゃんは「この世の真実」という言葉に反応。芸能人の不倫やアイドルの裏の顔なんてどうでもいい事で、他人の不幸に群がって何が「真実」だ、と激高した。それは、日向子も常々感じてる事だ。だが、「週刊誌の意義」の答えを探しながら働く中で分かった事もあった。それは、「週刊千石」は、どんな相手であろうと忖度なしで記事にするという事。そんな“オトナの都合”が通じない、何でも世に出る雑誌だからこそ、谷岡の死の真相を世に出せるのではないか、何か出来る事があるのではないか…彼女はそう考えていた。自分たちのしている事を正当化しているようにも受け取れるし、正論ではないかもしれないが、彼女はそう信じて、それを心の支えに頑張っているのだ。だから罵倒されても何とか耐えられているのだろう。 泣きながら溢れる想いを訴える日向子に心を動かされたニコちゃんは、「わかった」と言い、谷岡から預かった物を渡すことにした。次回、それを見た日向子たち「週刊千石」の面々は、事件の核心に大きく近づく事になる…。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部