訪日観光客などが申請する「短期滞在」の在留資格で来日した台湾籍の男女4人が26~28日、特殊詐欺の「受け子」や「出し子」をしたとして相次いで県警に摘発された。警察は、滞在中の短期間で現金を繰り返し受け取って出国し、摘発を逃れようとしているとみて警戒を強めている。 県警は28日、仲間と共謀して名古屋市南区の男性(55)から不正に入手したキャッシュカードで現金50万円をATMから引き出したとして、いずれも台湾籍の自称ダンサーの男(37)と無職の男(37)を窃盗容疑で逮捕した。2人は今月、別の日に「短期滞在」の資格で来日していた。 被害に遭った男性はニセの警察官から「マネーロンダリング事件の被疑者になっている。捜査に協力を」と電話を受けた。13日に犯人側の指示に従って自宅玄関のドアノブに、現金100万円やキャッシュカード入りの袋をかけていた。被害に気づいた男性が18日に県警に連絡。男性のカードを使って東京都でも現金が引き出されていたことから、警視庁も捜査にあたり、2人が東京・池袋に滞在していることが判明。確保に至った。 26日には、いずれも台湾籍の女が名古屋市で、男が春日井市で受け子をしたとして、それぞれ詐欺未遂と詐欺容疑で逮捕された。 今年、県警では「短期滞在」で日本に入国し、受け子や出し子をしたとして中国、台湾籍の計6人を摘発した。県内で受け子をする前に、滋賀県で投資詐欺の被害金1750万円を受け取っていたケースもあった。確保時にパスポートを所持していない例も目立ち、県警幹部は「現金などを持ち逃げされないよう、管理役が預けさせている可能性がある」と指摘する。 被害者と顔を合わせる受け子は、摘発のリスクも高い。学校などでの啓発活動も浸透してきており、県警は人手不足に悩む詐欺グループが、末端の役割を担う人材を海外でリクルートしているとみている。 外国人の容疑者は、ひとたび出国されてしまうと、摘発は難しくなる。今年、県警が4件の事件の受け子をしたとして特定した計3人は既に出国していた。県警幹部は「金融機関や他県警などと連携を密にとり、被害になるべく早く気づいて捜査を迅速に進めていく必要がある」と話す。