国内最大規模の違法スカウトグループ「ナチュラル」に警視庁の警部補が捜査情報を流していたとされる事件で、警視庁は3日、暴力団対策課の神保大輔容疑者(43)を地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで再逮捕した。捜査対象になっている人物の名前や20カ所以上の立ち寄り先など、捜査で把握した情報をリスト化し、ナチュラル側に送っていたという。 全国の警察が「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」とされるナチュラルの壊滅を目指して捜査を続ける中、警視庁は、こうした漏えいがナチュラル側の捜査逃れを招いたとみて調べている。 今回の逮捕容疑は、7月下旬、ナチュラルメンバーの名前やグループ内での役回り、関係先の住所を記したリストを作り、その写真1枚をスマートフォンのアプリでナチュラル関係者に送ったとしている。認否を明らかにしていない。 人事1課によると、神保容疑者は4月までナチュラルの捜査を担当していたが、外れた後も暴力団対策課内で共有する捜査情報へのアクセス権を持っていた。今回漏えいしたとされる情報も、貸与されたパソコンを使って職場で閲覧し、自分で一覧表にしていたとみられる。送信には、ナチュラルが独自開発した通信アプリを使っていたという。 自宅からは家宅捜索で900万円近い現金が見つかっており、警視庁は、神保容疑者が1人でナチュラルと接触し、捜査情報の提供と引き換えに金を受け取った可能性があるとみている。【春増翔太】