〈俺、13歳と遊べるなら、仕事休むレベル〉 こうメッセージを送って、マッチングアプリで知り合った女子中学生Aさん(当時13歳)を誘い出し、約3時間半連れ回した39歳の男に判決が下された。 元医療事務・鈴木勇樹(ゆうき)被告は、Aさんに対する未成年者誘拐、同じく女子中学生Bさん(当時13歳)に対する不同意性交等に性的姿態等撮影、児童ポルノ禁止法違反の4つの罪に問われていた。 11月10日、さいたま地裁で、室橋雅仁裁判長は「(Aさんを)約3時間半にわたって両親の監護下から離脱させている」「SNSで知り合った判断能力の未熟な13歳の被害者(Bさん)に対し、その健全な成長に与える深刻な影響について思いを致すことなく犯行に及んだ」などとして、「懲役5年(求刑6年)」を言い渡したのだ。 鈴木被告は、’20年ごろからインターネット掲示板やマッチングアプリなどを利用して、未成年者をふくむ不特定多数の女性と連絡を取り合い、ドライブや性交などを繰り返していたという。そのなかで’25年4月初旬にマッチングアプリで知り合ったのがAさんだった。LINEで連絡を取り合うようになった鈴木被告は、Aさんに冒頭のメッセージに続けてこう送っていた。 〈セフレの中学生もいるけど、お金を使う遊びとか、ドライブとか、そういうのができると楽しいみたいだから、(Aさんも)マジで遊ぼう(笑)〉 4月7日にさいたま市内でAさんと合流すると、約3時間半にわたって埼玉県内をレンタカーで徘徊。その後、鈴木被告はAさんが指定する駅まで送っている。 鈴木被告がAさんを連れ去ったことが発覚したのは、Aさんの母親がスマホのGPSを確認したことがきっかけだった。検察官が読み上げた起訴状や冒頭陳述では、Aさんの異変に気づいた両親がすぐに行動を開始した様子が、このようにつづられていた。 ◆「性交では避妊具を着用しています」 「Aさんの母親は、AさんからLINEで『友人と遊んでくる』と連絡を受けました。しかし、Aさんのスマホの位置情報を確認すると、埼玉県内で不自然な移動経路をたどっていたことから、娘は成人男性と会って車で移動しているのでないかと疑いました。 そこでAさんの父親が警察に通報。Aさんの父親と母親はスマホの位置を追い、Aさんの捜索を開始したのです。その後、父親が公園に1人でいるAさんを発見しました」 鈴木被告は5月28日に未成年者誘拐の疑いで逮捕。しかし事件はこれだけでは終わらなかった。鈴木被告のスマホから、自動車内でBさんと性交をしている動画が発見されたのだ。 Bさんと知り合ったのは、Aさんへの犯行後の4月下旬ごろ。やはりマッチングアプリで知り合ったという。そして連絡を取り合って5月下旬にBさんを呼び出し、千葉県内の立体駐車場に止めたレンタカーの中で性交するなどし、その様子をスマホで撮影・保存していた。 鈴木被告は警察の取り調べで、Bさんへの犯行について、次のように供述している。 「中学生くらいの子でも会えるのであれば会いたいし、相手が嫌がらないのであれば性的なことをしたいと考えてBさんと連絡を取りました。Bさんが中学生だということは聞いていました。撮影した動画は、自分が後で見直そうと思って撮影したもので、ネットに載せたり誰かと共有したことはありません。性交では避妊具を着用してます」 鈴木被告はBさんへの犯行で7月16日に再逮捕されている。 弁護人は「どちらの被害者にも暴行や脅迫を行っていない」などと主張して、「寛大な判決をお願いいたします」と述べていたが、下されたのは実刑判決だった。 ◆罪の意識まで麻痺していたのか 室橋裁判長は判決を言い渡した後、このように述べている。 「被告人は、これまでインターネットを通じて知り合った複数の未成年者に自動車内等で性交などをしたことを供述していることに照らせば、この種の犯罪に対する規範意識が希薄といえる」 この日は上下グレーのスウェットに長髪をちょんまげにして入廷した鈴木被告。 初公判では、公判中に何度も顔をおおい、最終陳述では泣きじゃくりながら謝罪の言葉を述べていたが、すでに有罪となる覚悟を決めていたのだろうか。実刑判決が言い渡されても取り乱すことはなく、室橋裁判長にただ頭を下げたのだった。 検察官の「未成年者を連れ回したり、性交したりするのは犯罪だとわかっていて、なぜそこまでインターネットを使うのか」という質問に、「インターネットを使う感覚が麻痺していたんだと思います」と答えていた鈴木被告。多くの未成年者に会ううちに、本人の同意が得られれば「未成年者を保護者の同意なしに誘い出すこと」も「未成年者と性交すること」もたいしたことではないと、罪の意識まで麻痺してしまったのだろうか。 鈴木被告は「未成年者と性交するのに抵抗を感じなかったので、専門のクリニックに通うことを考えています」と述べていた。しかし、検察官から「具体的にどういう病院があるのか」と問われて「何も調べていません」と答えるなど、自身の性的嗜好に関してはまだまだ自覚が足りないようにも感じられた。 今後、控訴しなければ、5年間の服役生活が始まることとなる。刑務所での生活で、“麻痺した感覚”が正常に戻ることはあるのだろうか。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文・写真:中平良