愛犬家も遺体もないミステリー 埼玉愛犬家殺人事件(1993年〜1995年)【TBSアーカイブ秘録】

1993年、埼玉県熊谷市周辺で起きた「埼玉愛犬家連続殺人事件」は、その残忍な手口と“遺体なき殺人”という異常さから、謎が謎を呼ぶミステリーとされました。しかし、加熱するかに見えた報道がピタリと止まったのは…。※一部敬称略(アーカイブマネジメント部 疋田 智) ■4人が立て続けに失踪 1993年、埼玉県熊谷市周辺で次々と人が消える、ということが起きました。 当初、ある者は「家出」またある者は「何らかの事故?」と思われていましたが、4人の失踪者には、共通の知人がいることが分かってきたのです。 事件の中心にいたのは、ペットショップ「アフリカケンネル」を経営していた夫婦2人でした。 ■無関係に見えた4人に「熊谷のペットショップ」という接点が 最初の被害者が姿を消したのは1993年4月のことでした。 ペットの購入をめぐるトラブルを抱えていた男性が、帰宅途中に突然消息を絶ちます。 その後7月には暴力団関係者とその運転手の2人が、さらに8月には女性1人が行方不明となり、短期間に4人が立て続けに失踪する事態となりました。 いずれも熊谷のペットショップ「アフリカケンネル」と関わりがあったことから、捜査は次第に店舗経営者へと向かっていきます。 ■被害者は毒殺され、遺体は見えないように処理された 犯行に使われたのは、犬の処分用として仕入れた猛毒・硝酸ストリキニーネでした。 被害者はいずれも、この毒を混入された飲食物を口にして死亡したとみられています。 さらに事件の残虐性が注目されたのは、遺体の処理方法でした。遺体は風呂場で切断され、肉片は川に流され、骨はドラム缶で焼却されるなど、証拠を完全に消すための徹底した作業が行われていたとされています。 しかし当初、容疑者の夫婦は知らぬ存ぜぬを貫き通していたのです。 ■従業員の供述で逮捕 事態が急展開したのは、アフリカケンネルの従業員だった男性が供述を始めたことでした。 彼の証言をもとに、1994年末、群馬県片品村の山林から遺留品や遺骨の一部が発見され、事件の全容が明らかになっていきます。そして1995年1月、関根と風間の2容疑者は殺人と死体損壊・遺棄の容疑で逮捕されました。

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