「息子を逮捕してもらって」 ギャンブル依存症者の父に支援者が助言

「ギャンブル依存症問題を考える会」はギャンブル依存症者の家族らの相談を受け、アドバイスする会合を定期的に開いている。 「警察に息子を逮捕してもらったほうがいい」 考える会代表・田中紀子さんは、相談者である依存症者の父に向かって、はっきり言った。 相談者や支援者らが詰めかけた会場に緊張感が走った。 ギャンブル依存症問題は深刻化している。最近はオンラインカジノやスポーツベッティング(賭博)による被害が急増。スマホで簡単に始められ、若者がわずか1週間で多額の借金を重ねるケースも。実際に、闇金から借金し家族が取り立てに苦しみ、自殺寸前まで追い込まれる相談事例もある。 同会は、決済代行業者に対する取り締まりを含めた法令違反者への罰則強化、ギャンブルをあおる広告やユーチューバーらによる紹介動画の禁止、違法サイトのブロッキング、アプリ使用や公営ギャンブルの開催日の制限などの対策を急ぐよう、政府に求めている。 9月25日に改正ギャンブル等依存症対策基本法が施行され、オンラインのギャンブルサイトに誘導する広告やSNS投稿などが禁止された。だが、違法行為への罰則はなく、いまもインターネット上には多くの誘導が見られる。 田中代表は「思ったより広告が減っていない。子育て世代の男性がはまり、借金を重ねて破産し、犯罪に手を染めてしまう。家族も苦しむ。特殊詐欺に手を貸したとか、小さい子のいるお父さんが自殺したといった相談も増えている。こんな国でいいのかと問いたい」 悲壮感を隠さずに、田中代表は訴えた。(後藤太輔)

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