外国人が外国人から不正利益の構図も 記録的な増加の陰にインバウンド目当ての違法営業

インバウンド(訪日客)や在留外国人の数が過去最多を更新する中、外国人相手の違法営業が目立っている。中国人ら向けの売春の摘発が相次ぎ、無許可でタクシー営業をする「白タク」行為も横行している。SNSなどを介して外国人らに広まっているとみられ、対策の強化が急がれる。 大阪府警が12月、道路運送法違反の疑いで逮捕した中国籍の女(43)は、経営する介護サービス会社を悪用して白タクをさせていた疑いがある。 逮捕容疑は昨年12月~今年10月までの間、雇用関係がない30~40代の男女5人が所有する車を同社のものと偽って登録。白タクをさせたというもの。府警は同社から名義貸しを受け、白タクを行ったとしてこの男女5人も同容疑で逮捕するなどした。 道路運送法はタクシー営業に国の許可が必要と規定。タクシーが緑のナンバープレートなのに対し、白タクは許可を得ずに白ナンバーの自家用車を使って有償で客を運ぶ違法行為を指す。 府警によると、逮捕した中国籍の女の会社は介護タクシー事業などの営業に必要な「福祉輸送事業限定許可」を取得。このため、同社の事業車両として緑ナンバーを取得することが可能で、5人は実際に同社名義で取得した緑ナンバーを付けて白タクをしていたとみられる。 ただ、福祉輸送事業限定許可は、介護が必要な人の送迎に限定されており、タクシー営業は許可されていない。白タク発覚を防ぐための偽装だったとみられている。 ■訪日、在留ともに最多 日本政府観光局によると、今年1~11月の訪日客数(推計値)は約3906万人で、通年で過去最多だった昨年の約3687万人をすでに上回った。在留外国人数も過去最多の約395万人(今年6月末時点)となっている。 こうした状況下で、白タクの今年1~10月末の摘発件数は113件で過去最多。摘発人数の102人のうち半数を超える53人が外国籍だった。 海外ではスマートフォンアプリなどを介し、自家用車で有償送迎するライドシェアが普及。中国では2016年に、「配車サービス」として自家用車で客を有償輸送するビジネスが合法化された。こうした背景もあり、外国人の間では白タクへの抵抗感が少ないとの見方がある。 来日前にSNSなどで手配するケースが多いとみられる。訪日客目当ての違法営業で外国人が利益を得る構図となっており、警察当局は白タクの摘発を強化している。

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