2026年2月28日よりユーロスペースほかにて全国順次公開されるドキュメンタリー映画『湯徳章―私は誰なのか―』の予告編が公開された。 本作は、『湾生回家』で知られる黄銘正(ホァン・ミンチェン)監督が、連楨惠(リェン・チェンフイ)と共に5年の歳月をかけて製作したドキュメンタリー。日本統治時代の台湾に生まれ、戦後の混乱の中で市民を救うために命を落とした弁護士・湯徳章(トゥン・テッチョン)の生涯と人物像を追う。 湯徳章は1907年、日本人の父と台湾人の母のもとに生まれ、警察官を経て日本で司法を学び弁護士となった。1947年に発生した二二八事件の際、彼は混乱の収拾に尽力し多くの市民を守ったが、軍に逮捕され拷問を受けた末、40歳の若さで公開処刑された。 映画では、息子や姪、果物屋の店主、ジャーナリストら関係者の証言や記録を紐解きながら、これまであまり語られてこなかった彼の人生を浮き彫りにしていく。再現シーンでは、監督・俳優としても活躍する鄭有傑(チェン・ユウチェー)が湯徳章を演じている。 公開された予告編では、社会的な背景のもとで語り継がれることのなかった湯徳章が生きた時間軸を、彼と関わりのあった人々の証言や記録をもとに静かに浮かび上がらせていく様子が映し出されている。