高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」で預けた腕時計が勝手に売られた事件があり、警視庁は26日にも、運営会社「ネオリバース」(大阪市中央区、解散)の元代表、小湊敬済こと福原敬済容疑者(44)=住居不詳=を詐欺容疑で逮捕する。捜査関係者への取材で分かった。 元代表はサービス終了と同じ2024年1月、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに向け出国していた。警視庁などが逮捕状を取り国際手配をしていたところ、26日に日本に着く予定の飛行機に乗ったという。 ■650人から被害届、45都道府県警で受理 トケマッチは所有者から預かったロレックスなど高級ブランドの腕時計について「ユーザーとオーナーをつなぐ」と称したサービス。腕時計所有者は同社に貸し出して預託料を受け取り、同社は別の人に貸し出して使用料を得るとされた。21年1月にサービスが始まったが、腕時計が所有者に返却されない例が相次いでいた。 捜査関係者によると、45都道府県警が、サービスを利用した20~80代の約650人から被害届を受理(24年5月時点)。受理分の腕時計約1700本(時価計約28億円相当)のうち、約1300本が全国の質店や買い取り店計約110店舗で売却されるなどしたことが判明した。これらで得た多額の資金について、元代表は暗号資産の購入やオンラインカジノの関係口座への送金に充てたという。 警視庁は、24年3月、業務上横領容疑で逮捕状をとって指名手配し、警察庁も国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を要請。同年9月に詐欺容疑に切り替えて逮捕状をとり、更新を続けていた。 また、警視庁は今月26日、同社元従業員中山大志容疑者(44)=大阪市=も元代表と共謀したとして詐欺容疑で逮捕した。2人の逮捕容疑は、共謀して23年8~12月ごろ、ホームページ上に「当社のシェアリング事業は、高級ブランド時計を月額制でレンタルできる」「レンタルの有無にかかわらず、預託使用料は毎月発生」と、うその内容を掲載し、閲覧した都内の30代男性から高級腕時計15本(時価計約1800万円相当)をだまし取ったというもの。(三井新、西岡矩毅)