静岡県三島市の横浜ゴム三島工場で従業員15人が刃物で刺されるなどした事件で、殺人未遂容疑で逮捕された元従業員の小山(おやま)雅貴容疑者(38)について、複数の被害者が「知らない」と話していることが29日、捜査関係者への取材で判明した。入院中でまだ県警が事情聴取できていない被害者もいるが、現時点では面識がある人は確認できていないという。県警は、小山容疑者が一方的に恨みを募らせ、無差別に従業員を襲った可能性があるとみて、動機を慎重に調べている。 捜査関係者によると、小山容疑者は工場勤務時に「いじめを受けていた」と供述。内容について「暴力を振るわれた」「労働組合や上司に相談しても相手にされなかった」などと話しているという。 小山容疑者は26日の事件当日、サバイバルナイフと漂白剤のような液体を準備したうえで、ガスマスクのようなものを装着していたとみられる。県警によると、車で工場の正門から侵入し、液体をまきながら敷地内を移動して次々に刃物で襲ったとされる。被害に遭ったのは20~50代の男性従業員15人。うち8人は刃物、7人は液体で負傷したとみられる。 県警は現場に残された刃物1本と車を押収したほか、27日に容疑者の自宅を家宅捜索した際、漂白剤の商品名が記載された段ボール箱を押収した。段ボール箱は1500ミリリットルの漂白剤8本入りと記されたもので、家宅捜索前に容疑者の自宅玄関前に置かれていた。県警は、事件が周到に計画されていた可能性を視野に捜査を進めている。【藤渕志保、石川宏、三浦研吾】