今年は県警の現役警察官による不祥事が多発した。懲戒処分を受けたのは6人で、そのうち3人が免職となった。他にも2人の警察官が愛知県警に逮捕されるなど、計3人が逮捕された。県警によると、いずれも過去5年で最多となった。(肩書は処分または逮捕当時) 懲戒免職処分を受けたのは、事件で知り合った男性から現金50万円をだまし取った男性警部補(47)と、共謀して同僚から現金50万円を脅し取った男性巡査(23)と男性巡査長(40)の3人。 警部補は詐欺の疑いで、巡査と巡査長は恐喝の疑いでそれぞれ書類送検された。巡査は起訴され、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けた。 県警は、巡査らと共謀した男性巡査(27)も停職6月の懲戒処分とした。他にも速度違反の取り締まりから逃走した男性警部補と、セクハラ行為をした男性警部も減給の懲戒処分にしている。 鈴鹿署の男性巡査部長(35)は5月、住居侵入の疑いで現行犯逮捕され、所属長注意となった。9月には児童買春・ポルノ禁止法違反(買春)容疑で男性巡査(29)が愛知県警に逮捕された。 多発した不祥事を受け、敦澤洋司本部長は10月の県議会教育警察常任委員会で「県民からの信頼確保に向け、職員の綱紀粛正を徹底する」と陳謝した。 しかし、同月末、名古屋市名東区の施設に女性を盗撮する目的で侵入したとして、男性警部補(38)が愛知県警に逮捕された。 また、懲戒処分には至らない「監督上の措置」として、訓戒や注意を受けたのは昨年より2人少ない16人。守秘義務違反や事故不申告、ハラスメント行為などがあった。 さらに、今年は捜査の不手際など、不適切な事案も相次いだ。 名張市内の国道では4月、名張署員が制限速度を10キロ誤って速度違反の取り締まりを実施し、11人に交通反則切符を誤交付。松阪署は8月、飲酒検知拒否の疑いで逮捕した自転車の男性に対し、必要な令状が出る前に採血を実施した。 鈴鹿署の警察官が事故対応中、無施錠でエンジンをかけたままにしていた警察車両を盗まれる事件も発生。勤務日誌など公文書の紛失や誤廃棄も5件発覚した。 相次いだ不適切事案に対し、ある県警幹部は「警察として恥ずかしい。県民の信頼を裏切り、申し訳ない」とため息をつく。別の幹部からは「捜査の正当性が問われてしまう」との声も。 県警の担当者は「真摯に受け止め、個々の事案ごとに対策をしている」と説明。「職員に対する指導を繰り返し、法令順守を徹底させる。信頼回復に向けて一歩ずつ取り組む」と話した。