豪ビーチで銃撃犯と格闘の男性 罪のない人たちの犠牲を防ぎたかった

オーストラリア最大都市シドニーの観光名所ボンダイビーチで14日夕に起きた銃撃事件で、実行犯の一人と格闘し銃を奪った男性が、自分が何を考えて行動したのかを米CBSニュースに話した。事件では銃撃犯2人がユダヤ教のイベントを襲撃し、15人を殺害した。 アフメド・アル・アフメド氏はシリアで生まれ育った二児の父で、今ではシドニーで果物店を経営する。同氏は、事件当時に現場で撮影された映像で、銃撃犯とみられる人物に向かって走り、ライフル銃を奪い取り、銃を構えて相手に向け、後退させていた。BBCはこの映像の内容を確認している。 「私は、右手で相手を押さえつけて、言葉を言い始めた。警告するような。『銃を捨てろ、やめろ』というような」。アル・アフメド氏は、BBCがアメリカで提携するCBSニュースの単独インタビューで話した。 「ただ彼から銃を奪うのが目的だった。人間を殺して命を奪うのを止めさせること、罪のない人を殺さないようにすることを意識していた」 「気持ちの上で、自分は何かをしていて、つまり何かを感じていた。自分の体に、自分の脳に、力を感じていた」とも、アル・アフメド氏は説明した。 「自分の前で人が殺されるのを見たくない。血を見たくない。男の銃を聞きたくない。人が悲鳴を上げて、助けを求めるのを見たくない」 「自分の魂が、自分にそうするよう求めていた」 アル・アフメド氏は、自分の行動で「多くの人を救った(中略)けれども、失われた命については今も悲しい」とも述べた。 アル・アフメド氏は、サジド・アクラム容疑者(50)と格闘しライフルを奪った後、もう1人の銃撃犯、ナヴィード・アクラム被告(24)に数発撃たれた。アル・アフメド氏は重傷を負い、数回の手術を必要とした。 サジド容疑者は現場で警察に射殺された。逮捕されたナヴィード被告はその後、殺人15件とテロ攻撃1件を含む59件の罪状で起訴されている。 アル・アフメド氏の両親はBBCアラビア語に対して、自分たちの息子は「本人の思いと良心と人間性に突き動かされていた」のだと話した。 現地当局や政治家たちは、アル・アフメド氏の行動が無数の命を救ったと評価している。 オーストラリアのアンソニー・アルバニージ首相は16日に、入院中のアル・アフメド氏を見舞い、同氏を「この国の最善」だと称賛した。ニューサウスウェールズ州のクリス・ミンズ州首相は、同氏を「生身の英雄」と呼んだ。 アル・アフメド氏の行動をたたえる人たちがオンラインで寄付金を募ると、数万人が賛同。18日には募金の主催者が250万豪ドル(約2億6000万円)の小切手を、入院中のアル・アフメド氏に渡した。 (英語記事 Bondi hero says he wanted to stop gunman killing innocent people)

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