沖縄で撮影された少年による暴行の動画が交流サイト(SNS)で拡散されている。最近全国で同様の事案が相次いでいるが、沖縄の動画は2年前のもの。県警は「必要な対応はすでに終結している」と説明する。いったんネットに流出した情報は半永久的に消せない「デジタルタトゥー」となる。専門家は投稿や拡散に注意を呼びかける。(社会部・豊島鉄博、平良孝陽) 動画は、少年が別の少年を一方的に殴ったり蹴ったりし、複数の少年が取り囲む様子を写す。SNS上では13日ごろから拡散されていて、「犯人は逮捕されるべき」と追及する意見や、「根気強く拡散しよう」とあおるような投稿も見受けられる。 ただ、この事件は2024年に発生したもので、当時中学生の少年が摘発されている。県警も取材に対し「24年に県内で起きた傷害事件に関する動画で、直近の事案ではない」と明言。その上で「関係者の人権を侵害するようなコメントはやめていただきたい」と求める。 悪質な投稿への迅速な対処をSNS事業者に義務付けた情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)が昨年、施行された。暴力動画は対象になるのか。総務省の担当者に聞くと、「他者の権利を侵害する場合などは、アカウント削除の対象となる可能性がある」と説明した。 子どものスマホの使用状況に詳しい「スマホあんしん教育アドバイザー」の高宮城修さんは「暴行の現場に立ち合ってしまい、撮影することで恐怖感を和らげる子も少なくない」と話す。告発のため友人に共有した動画が、SNSを介して拡散されたケースを把握しているという。 「大人のインプレッション(表示回数)稼ぎにも悪用される」。X(旧ツイッター)やYouTubeは表示回数に応じて投稿者に収益を分配する仕組みを導入しているためだ。 高宮城さんの元には、別の動画を巡り、「忘れたかったのにまた(SNS上に)出てきている」と相談を寄せる人も一定数いる。入れ墨のように残るデジタルタトゥーの苦しみはいつまでも続く。 「被害者の気持ちを第一に、大人は拡散の責任の重さを自覚すること。そして子どもたちに向けて、いじめなどがあればSNSで解決するのではなく保護者や教員に相談してもらう態勢づくりが大切だ」と高宮城さんは話している。