歌舞伎俳優の中村鶴松容疑者(30=本名・清水大希)が、18日未明に東京都台東区のケバブ店のドアを蹴って壊したとして、建造物損壊の疑いで警視庁蔵前署に現行犯逮捕されていたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。鶴松容疑者は当時酒に酔っていたといい、「覚えていない」と容疑を否認。同日夜に釈放され、報道陣に向け謝罪した。東京・浅草公会堂で出演中だった新春浅草歌舞伎(26日まで)は降板が決定。2月には初代中村舞鶴(まいづる)を襲名予定のホープに、まさかの不祥事が発覚した。 舞い上がる鶴のごとく将来を嘱望されていた中村屋の期待の星が、“大トラ”になって暴れてしまったのか。鶴松容疑者は18日未明、台東区西浅草のケバブ店を訪れ、従業員とトラブルに。出入り口のドアを蹴り、損壊させた疑いで逮捕された。 この日送検され、午後6時20分ごろにスエット姿で蔵前署に戻り、7時過ぎに同署の正面玄関に姿を見せた。スーツ姿で頭を下げ「この度はご迷惑をおかけしまして申し訳ございませんでした。被害者の方には誠心誠意、対応させていただきたいと思います」と謝罪。車に乗り込んで去った。今後は在宅のまま捜査が続くとみられる。 鶴松容疑者は血縁に歌舞伎関係者のいない一般家庭に生まれ、劇団に所属していた2000年、歌舞伎座「源氏物語」に子役として本名で出演した。03年8月に納涼歌舞伎で共演した十八代目中村勘三郎さんに請われ、05年5月に部屋子に。同月、勘三郎さんの襲名披露興行で2代目中村鶴松として初舞台を踏んだ。 勘三郎さんからは実子の中村勘九郎・七之助兄弟と同様にかわいがられ、「3人目のせがれ」とも呼ばれていた。歌舞伎と並行して勉学にもいそしみ、早大文学部文学科演劇映像コースに進学。卒業後は次々と大役を演じた。 昨年1月の新春浅草歌舞伎終了後、勘九郎に直談判し、中村屋の幹部役者昇格の希望を伝えた。その結果、今年2月の初代中村舞鶴への襲名と幹部昇格が決定。「舞鶴」は、勘三郎さんの父である十七代目中村勘三郎さんの俳号「舞鶴(ぶかく)」から考案されたもので、まさに本家筋の“プリンス”として躍進が期待されている中での衝撃的な事件となった。 松竹はこの日、鶴松容疑者の新春浅草歌舞伎からの降板と代役を発表。所属事務所「ファーンウッド」はデイリースポーツの取材に「事実確認中で、こちらも情報収集に努めている。本人とは連絡が取れていない」とコメントするにとどめた。