ブラジリア連邦管区タグアチンガのアンシエタ病院で、入院患者3人が相次いで死亡していたことが分かり、捜査当局は同院に勤務していた24歳の男性看護師を主犯格とみて逮捕した。さらに、同僚の看護師2人も犯行に加担したとして身柄を拘束した。致死量の薬物や消毒液を患者に投与した疑いがあり、医療現場の信頼を大きく揺るがす事件として波紋が広がっている。20日付のブラジル247などが報じた。 事件は、患者の急変に病院側が異変を察知し、当局に通報したことで発覚した。警察によると、犯行は昨年11月から12月にかけて行われ、死亡した3人はいずれも集中治療室(ICU)に入院していた。被害者同士に関係性は確認されておらず、年齢や病状もそれぞれ異なっていたという。 警察の発表では、主犯格とされるマルコス・ヴィニシウス・シルヴァ容疑者は、医師のアカウントを不正に使用して薬剤処方システムにアクセスし、不適切な薬剤や致死量に達する薬を処方した疑いがある。処方後、院内の薬局で薬剤を受け取り、白衣に隠して病室に持ち込んでいたとされる。 また、少なくとも1件では清掃用の消毒液が使われ、数十回にわたって患者の血管内に直接注入されたことも判明している。シルヴァ容疑者は当初、「医師の指示に従って投与した」と関与を否定していたが、病院内の監視カメラ映像などを示され、関与を認めたという。動機については黙秘を続けており、警察は金銭的、または個人的な要因があった可能性も視野に入れて捜査している。 同じ病院で勤務していたアマンダ・ロドリゲス容疑者(28)とマルセラ・アルベス・ダ・シルヴァ容疑者(22)は、犯行を隠すため病室のドア付近を見張る役割を担っていたとして、共犯の疑いで逮捕された。 警察は、3人が勤務中に取っていた行動を詳しく調べるとともに、他の不審な死亡事案との関連や、病院内の管理体制の不備についても検証を進めている。とりわけ、薬剤管理や医療行為を監視する仕組みが十分に機能していなかった点が問題視されている。 病院側は事件発覚後、直ちに内部調査を実施し、関与した看護師3人を解雇したと明らかにした。今後は、内部監査の強化や医療従事者への教育を徹底し、再発防止に努めるとしている。 病院は声明で、「医療の現場でこのような不正行為が起きたことについて、患者と家族の皆さまに深くおわびする」と謝罪し、捜査に全面的に協力していると強調した。 連邦区看護審議会(Coren―DF)も独自の調査に着手し、倫理規定に反する行為が確認された場合には厳正に対処する方針を示した。看護師としての職責を改めて確認し、患者の安全確保を最優先にすべきだと訴えている。 犠牲となった患者の遺族からは、驚きと怒りの声が上がっている。63歳で亡くなった男性の家族は、「当初は死因不明と説明されていた。その後、犯罪の可能性を知り、大きな衝撃を受けた」と話し、病院側に対して法的措置を取る意向を示している。遺族は、容疑者個人の責任に加え、病院の監督責任も追及する構えだ。 警察は今後、病院内で他にも不審な事案がなかったかを調べるほか、容疑者が過去に勤務していた医療機関での行動についても捜査を進める方針だ。