自賠責保険請求で非弁活動疑い 福岡の行政書士法人副代表を逮捕

交通事故の際に支払われる自動車損害賠償責任(自賠責)保険の請求を巡り、弁護士資格がないのに事故の被害者に代わり保険会社との交渉業務などを請け負ったとして、福岡、熊本、沖縄の3県警合同捜査本部は21日、福岡市東区の「ピンチヒッター行政書士法人」副代表の高萩慎司容疑者(46)を弁護士法違反(非弁活動)容疑で逮捕した。捜査関係者への取材で判明した。 自賠責保険の請求手続きを行政書士がどこまで担えるかは専門家の間でも見解が分かれており、立件は異例。今後、行政書士の業務範囲に影響を与える可能性がある。 合同捜査本部は21日午前、同法人の事務所を家宅捜索した。押収資料を分析し、全容解明を進める。 自賠責保険では、事故の加害者が賠償金を支払うために請求する「加害者請求」の他、被害者が加害者加入の保険会社に直接賠償請求する「被害者請求」も認められている。 捜査関係者によると、高萩容疑者は整骨院と業務提携を結び、来院した交通事故の被害者と委任契約を締結。被害者請求の手続きを繰り返し請け負い、違法な報酬を得ていた疑いが持たれている。 行政書士は依頼者のために事実証明などの書面を作成できるが、法的判断が必要な書面の作成や保険会社との交渉は法律業務に当たり、弁護士しかできない。ただ、被害者請求は書面で請求し、そのまま認められるケースが多いため、高萩容疑者は「適法」と判断していたとみられる。 一方、一部の弁護士会が被害者請求の際も事故による負傷の程度や治療期間を巡って保険会社側と争う可能性があり、法律業務に当たると指摘していることなどを踏まえ、合同捜査本部は高萩容疑者の請求業務が非弁活動に当たるかを慎重に捜査。高萩容疑者が書面の提出だけでなく、治療費の請求が満額認められなかった時に保険会社側に「異議申し立て」を繰り返していたことが判明したため、逮捕に踏み切ったという。 高萩容疑者を巡っては今回の逮捕の前に、自賠責保険の被害者請求で上限額(120万円)に近い請求を繰り返し、提携先の一部の整骨院が水増し請求していた疑いが浮上。合同捜査本部は2025年9月以降、福岡市南区の整骨院グループ会社の代表取締役、松尾和則容疑者(46)らを詐欺容疑で逮捕・起訴していた。関係先として同法人を家宅捜索し、非弁活動の疑いが発覚したという。【金将来】

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