、イラン・テヘラン。テヘラン北東部パスダランに住む58歳のマリアムさんもデモに参加した。10日朝、マリアムさんのスマートフォンに発信者番号非通知の電話が1本かかってきた。デモ参加の事実を撮影映像で確認したとして、再び参加すれば逮捕すると警告されたという。その瞬間、マリアムさんの頭に浮かんだのは、9日夜のデモ現場で聞こえていたドローンの飛行音だった。 、2024年1月に中国を訪れ、王小洪・中国公安部長と会談した。両者は「法執行協力に関する了解覚書」に署名した。目的は、法執行および対テロなど安全保障分野における協力の高度化だ。会談で「中国と安定的に協力したい」と述べたラダン長官は、今回のデモで群衆を銃剣で残虐に鎮圧した中核人物の一人とされる。 昨年12月28日に始まり、2週間近く続いたイラン反政府デモの期間中、イランの重要な政治・経済パートナーである中国の存在感は薄かった。明確な外交的行動を取らず、消極的な姿勢に終始した。 一方、中国の最先端の監視・顔認証・ドローン技術は、政府とは異なる形で存在感を示した。これらの技術が、イラン政府が強硬な鎮圧を行えた主要な原動力だったとの評価が出ている。 米外交専門誌「ディプロマット」は最近、「中国は政権を救わずとも、監視技術がイランの統制を可能にする」という見出しの記事で、中国政府および中国企業が提供した各種技術が、イランの反政府勢力に対する統制力強化に核心的な役割を果たしたと報じた。 イラン当局は、デモが激化すると8日、インターネットおよび通信を全面遮断し、デモ隊の外部との連絡を遮った。その後、狙撃などの流血手段を無差別に行使してデモ隊を鎮圧した。英拠点の独立系メディア「イランワイヤー」によると、この過程でドローンは、通りや住宅内部で反政府スローガンを叫んだデモ参加者の顔を撮影し、身元を特定した。ドローンがデモ隊を追い立てるほか、市民に向けて直接発砲することもあったという。 ◇夜でもデモ隊を識別…イランで存在感を増す中国技術 ディプロマットによると、これはティアンディ(Tiandy、天地)などの中国の映像監視技術企業の技術によって実現した。2018年にテヘラン国際警察安全・保安博覧会に参加したティアンディが誇るのが、暗闇でも鮮明な映像を撮影できる、いわゆる「スターライト」技術だ。イラン週刊誌テヘラン・ビューローは「イランの軍・警察は、この技術を通じて、暗闇の中でもデモ隊の鮮明な画像を撮影し、取り締まっている」と伝えた。テヘラン・ビューローによると、ティアンディのほかにも、ファーウェイ、テンセント、ハイクビジョンなど、少なくとも8社の中国企業が、イラン当局に顔認証や高精度の映像監視、群衆モニタリング、携帯電話追跡技術を提供してきた。 ドローンやイントラネット分野などでも、中国企業の技術や装備がイランに大量に流入しているとの疑惑が提起されている。今回の反政府デモの過程で、ドローンによる鎮圧や、仮想私設網(VPN)さえ遮断する強力なインターネット遮断が実施できた背景だ。中国企業は、関連装備を販売するだけでなく、運用のための教育プログラムまで提供してきた。 イランと中国の治安当局の協力は長年に及ぶ。韓国の警察大学に相当する中国人民公安大学は、2015年から「イラン高位警察官研修プログラム」を運営してきた。イラン国家警察大学も2018年に中国側と協定を結び、交流および研修プログラムを実施中だ。イラン反政府デモが発生する3日前の先月25日には、アブドルレザ・ラフマニ・ファズリ駐中国イラン大使が人民公安大学を訪問し、協力強化の意思を示した。 米シンクタンクのスティムソン・センターは、「イランは2021年に中国と25年間の包括的戦略的パートナーシップを結んだ後、監視能力を発展させた」とし、「2022年にイラン女性マフサ・アミニの不可解な死をきっかけにヒジャブ抗議デモが発生した後、さらに拡大した」と伝えた。