本日公開、映画「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2」感想。前作をおさらいしつつ、作品が描こうとしているテーマを深堀り!!【特集】

本日1月23日に日本での公開を迎えた「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2」。本記事では、事前に本作を鑑賞した筆者が、本作の感想に加え、前作のおさらいもお届けします。 『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(FNaF)のゲームシリーズのメインクリエイターで、小説版「Five Nights At Freddy’s: The Fourth Closet」やウェブミニシリーズ「Five Nights at Freddy’s VHS」といったサイドストーリーなども手掛けるなど、『FNaF』ユニバースを構築してきたスコット・カーソン。 そんなスコット自ら脚本を担当した、映画版「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」(2023)が公開されると、ゲームファンからは多くの好意的な意見が寄せられました。ストーリーラインとしては、ゲーム版と小説版三部作を下敷きとしていながらも、全く新しいものを構築してみせたのです。ゲームに忠実でありながら、ゲームで描き切れなかった物語を肉付けした、リブート的な側面も強いのではないでしょうか。 例えば主人公のマイク・シュミット(ジョシュ・ハッチャーソン)は、ゲーム版の主人公のひとりですが、それは偽名で、本名はマイケル・アフトンだとされてきました。ところがそれは、あくまでファンの間の考察であって、公式が発表している設定ではありません。 映画版のマイクは本名であり、それは実際にセリフや書類などからも確認できます。つまりアフトン家の人物ではありません。同じ名前でもマイクは別人物として設定されていることがわかりますし、映画版「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2」では、決定的な証拠が付きつけられます。これがゲーム版に対しても共通する回答なのか、それとも映画独自のリブート設定なのかは不明です。 映画版のマイクは、少年時代に弟のギャレットを何者かに誘拐された過去から、通常の生活をおくることが困難となり、両親の死後は、妹アビーの面倒をみながら生活しているものの、ギャレットを救えなかったトラウマが影響し、仕事はすぐに解雇になってしまうという、明らかにキャラクター構造が濃くなっています。それに加えて、「赦し」や「魂の浄化」もテーマのひとつとして描かれいて、その点ではスコットが厳格なクリスチャンであり、もともとキリスト教のゲームを制作したことも深く影響しているように感じられましたし、ゲーム1作目の制作時と現在では、作品に対する思い入れやヴィジョンが変化していることもストーリーとして反映させているのでしょう。 また、映画オリジナルキャラクターのヴァネッサ・シェリー(エリザベス・レイル)が、FNaFの世界観をナビゲートする役割として大きく機能しています。 FNaFの映画化は、ゲーム版1作目がリリースされた翌年の2015年から企画されており、当初は「ゴーストバスターズ/アフターライフ」(2021)のギル・キーナンが監督を務める予定でした。その後、何度か企画が再浮上しては消えを繰り返し、やっと2022年頃に本格始動しました。ところが設定された公開日が、まさかの映画俳優組合のストライキ真っ最中。そのため、大掛かりなPR活動をすることができないまま公開を迎えたものの、結果的には世界興収3億ドルをたたき出し、すぐに続編製作が決定しました。 ゲームの知名度が後押ししていることは言うまでもありませんが、「パラノーマル・アクティビティ」(2007)や「M3GAN ミーガン」(2023)などを手掛け、映画版「FNaF」においてはプロデューサーとして参加するジェイソン・ブラムは「スコットは、ファンに愛される要素にスポットを当てることを最優先にしていた」と語っているだけに、原作をリスペクトしたファンムービーとして認められたのです。 ただし、作品の成功はスコットだけの功績ではありません。スーパーナチュラルホラー「The Wind」(2018・日本未公開)で注目を集めた、エマ・タミが監督を務めたことで、スコットの想像する世界観を十二分に表現できていたように思えます。さらにマスコット(アニマトロニクス)とパペットを手掛けたのは、「セサミストリート」のパペットでお馴染みのジム・ヘンソン・クリーチャーショップ。マスコットとしても機能しながら、不気味さを漂わせる、絶妙な中間的バランスを見事に演出してみせました。 しかしその一方で、ゲーム原作映画としてではなく、シンプルにホラー映画として観た場合のパンチの弱さと、矛盾が多いという点が指摘され、映画ファンからは酷評が多かったのも印象に残ってしまいました。 確かに作品が描こうとした全体像が見えにくい問題もあるし、子ども騙しのジャンプスケアで誤魔化している部分があったのは確かです。対象年齢は子ども向けではありませんが、子どもが被害にあう設定上、どこまで描いていいのかという迷いが、ホラーとして消化しきれていない不完全燃焼。ブラムハウス製作というのもハードルが上がってしまった原因かもしれません。 それらの点も踏まえながら、続編はどうなっているのでしょうか……。 ■ホラー演出とキャラクター造形の強化によって、テーマ性が明確になった『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2』(※前作のネタバレを含みます) 1月23日より公開となった『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2』は、監督のエマ・タミ、原作者でもある脚本のスコット・カーソン、マイク役のジョシュ・ハッチャーソンやヴァネッサ役のエリザベス・レイルといった出演者も続投になりました。 物語は前作から1年後。前作同様にマイクの視点で構成されているものの、同時にヴァネッサの視点も強くなっており、過去と向き合い方や連続殺人鬼である父親ウィリアム・アフトン(マシュー・リラード)の呪縛といった、精神面ではヴァネッサメインのストーリー構成ともいえます。また、ゲーム版を知っていれば欠かせない人物が意外なかたちで登場することに驚くでしょう。 恐怖演出は、前作の否定的な意見を受け止めたのか、大きく改善されており、ゲーム原作映画以前に、ホラー映画としても満足させるクオリティに仕上げてきました。それに加えてゲームをプレイしているような感覚にさせるカメラワークを取り入れるなど、ゲームと映画のハイブリッド感を、より強くしたといえます。 キャラクターの解像度も鮮明になったように感じました。前作では、ヴァネッサが、子どもたちの魂と肉体が宿るマスコットたちを管理していた理由をざっくりと描かれていたため、どうして、犯罪行為を知りつつもウィリアムを早く逮捕しなかったのか。そんな理由に、いまいち説得力が無く、多くの不可解な点を残してしまいました。 ところが今作で描かれたヴァネッサの過去と、ウィリアムに向き合えず、逃げていた弱さを描くことで、ウィリアムを止めることができず、結果的に被害者を生み続けてしまうことに加担してしまった罪悪感。そして、少女時代に親友を助けられなかった事実が明かされたことで、ヴァネッサというキャラクターの深みが圧倒的に増しています。ヴァネッサが警察官になったのは、別の事件を解決することで罪悪感から解放されようとしていたからなのです。 ヴァネッサの過去を象徴する存在として、新たに登場するのがマリオネットです。ゲーム内で最凶のお邪魔キャラとされているマリオネットがゲーム版の2作目に初登場したように、映画版においても2作目で登場しました。 スコットの「FNaF」映画化ヴィジョンのなかで、2作目はゲーム版2作目を下敷きとした作品にしたいというのがあり、この映画シリーズが1作だけで完結させようとした構成でないことが明確になりました。1作目の頃はまだ手探り状態だったため、一応、1作目だけで一旦完結できる構成になっていたのですが、作品のヒットが後押しとなり、今作は3作目ありきの構成になっています。 前作同様に「魂の浄化」という点では、スコットのキリスト教要素が少なからず反映されているのですが、もうひとつ描こうとしているテーマが明確になりました。それは「狂気性の継承」です。同じブラムハウス作品でいえば、「ハロウィン」シリーズで描いていたテーマです。 「ハロウィン」シリーズの場合は、マイケル・マイヤーズことブギーマンという殺人鬼の存在が与えた不安や恐怖といったものが、人々の潜在意識に入り込み、のちの人生に大きな影響を及ぼすこと、そのなかで狂気性を継承してしまう者が現れてしまうことが描かれていました。つまり映画版「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」シリーズにおいては、ヴァネッサがウィリアムの呪縛によって、善にも悪にもなり得るアンバランスな位置に立たされていることがわかります。 そして前作に登場した子どもたちの魂は、ウィリアム亡き後であっても、まだ救済されてわけではありません。今作において意外なかたちで再登場を果たします。それは間違いなくハイライトシーンといえるでしょう。 マイクの妹のアビーは、純粋だからこそ、利用されてしまう役割を前作同様に担っているのですが、アビーの純粋さは今後の鍵になってきそうです。 殺人鬼自体が敵という、単純な話ではなく、その余波が引き起こした闇の増殖、狂気性の連鎖を、どうやって断ち切るか。そんな深いテーマに足を踏み入れる、洗礼されたホラーシリーズになるとは想像していませんでした。シンプルに不気味かわいいアニマトロニクスたちの暴れ具合を楽しむ作品としても機能している一方で、視点を変えると、かなり深いテーマに手を出していることに気づくはずです。 ■『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2』作品情報 監督:エマ・タミ 脚本:スコット・カーソン 製作:ジェイソン・ブラム、スコット・カーソン 原案:ゲーム「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」スコット・カーソン 製作:ジェイソン・ブラム、スコット・カーソン 出演:ジョシュ・ハッチャーソン、パイパー・ルビオ、エリザベス・レイル、フレディ・カーター、テオダス・クレイン、ウェイン・ナイト、マッケナ・グレイス、スキート・ウールリッチ、マシュー・リラード他 1月23日(金)より全国公開 ©2025 SCOTT CAWTHON PRODUCTIONS and UNIVERSAL STUDIOS 配給:東宝東和

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする