老いと孤独…HIKARI監督がエモーショナルに 「レンタル・ファミリー」ほか シネマプレビュー 新作映画評

公開中の作品から、映画担当の記者がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。 ◇ ■レンタル・ファミリー エモーショナルな映画だ。「37セカンズ」がそうだったように、HIKARI監督の映画は静かに、しかし確実に見る人の胸をつかむ。 東京で暮らす売れない米国人俳優、フィリップ(ブレンダン・フレイザー)が、代行家族である「レンタル・ファミリー」派遣の仕事に就く。映画は〝ニセ家族〟を淡々と見せていく。だが、突如、ある秘密を暴露し、観客は胸が締め付けられる。 後半は、認知症を患ったかつての銀幕スター(柄本明)の帰郷にフィリップが同行する道行きが描かれる。老いと孤独を抱えた柄本とフレイザーの芝居の呼吸が忘れがたい。日米合作。 27日から全国公開。1時間50分。(健) ■映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城 「映画ドラえもん」シリーズ45作目は、「のび太の海底鬼岩城」(昭和58年)のリメーク版。佳作だった昨年の「のび太の絵世界物語」に劣らぬ仕上がりだ。 前半は、夏休みにのび太たちが深海キャンプを楽しむまでの経緯を、友情と団結を絡めて描く。深海の神秘が丁寧に描かれ、知的好奇心を刺激する。これは夏休み公開のほうが似合ったか。AIを搭載した水中バギーが登場し、物語の鍵を握る。 後半は、のび太たちが海底人にとらわれ、深海で繰り広げられている争いに巻き込まれる。勇ましい場面がやや気にかかるが、理屈より心の声に動かされる、人間の不思議を描いて切ない。 27日から全国公開。1時間42分。(健) ■ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン ザ・ビートルズ解散後のポール・マッカートニーを追うドキュメンタリー。新バンド「ウイングス」で音楽の最前線に再び躍り出る姿を軸に、大麻所持による日本からの強制退去、盟友ジョン・レノンの死と激浪の10年が描かれる。 ファン向けの作品だが、税関での大麻発見の映像まで交え、日本での逮捕劇に意外なほど時間を割くのが興味深い。

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