金融界に汚点残す顧客強盗殺人未遂・放火事件 野村証券元社員が法廷で語った身勝手な弁明

令和6年7月、広島市西区の80代女性に睡眠薬を飲ませて昏睡(こんすい)状態に陥れ、現金計約2600万円を奪い女性宅に放火したとして、強盗殺人未遂や現住建造物等放火などの罪に問われた野村証券元社員の男(30)の裁判員裁判判決公判が3月3日、広島地裁で開かれる。検察側は放火による殺害を想定した上で「完全犯罪」を画策したとして懲役20年を求刑する一方、被告側は殺意を否認し、強盗殺人未遂罪の無罪を主張。「別の証券会社でも事件は起きると思います」-。公判を通して目立ったのは、法廷で能弁に語る姿だった。 ■自身の投資に失敗 男は梶原優星被告=神奈川県葉山町。平成30年4月、同社に入社し、事件当時、広島支店で勤務していた。 女性の80代夫は大口が見込める顧客で、前任者からの引き継ぎで被告が担当に。ただ、夫は認知機能が変動する疾病にかかっており「現金の管理ができる状態ではなかった」(女性の証言)という。 女性が公判で明らかにしたところによると、夫の病気を知り、他の証券会社の担当者は営業に来なくなったが、被告は違った。 「『僕がうまくやりますから。現金を用意しておいてください』と。だから主人もその気になって…」 検察側の冒頭陳述によると、被告は証券マンとして働くかたわら、為替相場の変動を予想して投資する「バイナリーオプション」取引に失敗。令和6年3月頃には、累積損失が2千万円を超えた。女性から現金を盗もうと計画し、証拠隠滅のため女性宅に放火した。 計2600万円の窃取と放火についての事実関係に争いはない。公判での証言や裁判資料などから、一連の経過をたどる。 多額の現金は女性宅の2階寝室の押し入れ内のかばんの中に保管されていた。被告の求めに応じる形で女性が口座から引き出し、用意していた。 7月28日、夫が株取引でもうけた祝いとして、被告は世界的にも高い評価を受ける日本酒のスパークリングを手土産に女性宅を訪問。3人ですしを囲んだり、飲酒したりする中で準備していた睡眠薬を女性に飲ませた。 体にだるさを覚えた女性は2階の寝室へ。後を追うように被告も上がった。女性がベッドに横になると気を失った。被告は現金を盗み、押し入れ内に放火。女性は「パチ、パチ」という音と焦げ臭い匂いで異変に気付いた。1階でくつろいでいた夫と一緒に屋外に逃げて一命を取りとめた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする