市民生活に最も身近な警察活動、交通取り締まりへの信頼を失墜させる行為である。 速度違反の取り締まりなどを巡り、神奈川県警の第2交通機動隊で虚偽の書面作成による検挙が繰り返されていた。関わった約2700件の違反が取り消され、納付済みで還付される違反金は3400万円に上る。 県警は虚偽有印公文書作成・同行使容疑で、40代の巡査部長ら7人を書類送検し、懲戒免職など計19人が処分された。 前代未聞の規模の不正で、全国の警察の活動にも悪影響を及ぼしかねない。背景や組織の在り方も含め、徹底的な検証と再発防止策が必要だ。 不正は2022年〜24年、パトカーなどで一定の距離を保って追跡し、速度を計測しなければならない取り締まりで、実際とは異なる追跡距離を反則切符に記載したり、現場を訪れずに実況見分調書を作成したりしたとされる。 巡査部長は「事故防止のため、悪質な違反を排除したかった」と説明したというが、ゆがんだ正義感にあ然とする。 県警では昨年4月まで、事故防止に必要な取り締まり件数として過去の状況を踏まえた「目安」を示していた。評価を伴うノルマ主義も影響したのではないか。 ベテラン隊員を中心に不正手法が横行しながら、チェック体制が働かなかったことも深刻に受け止めるべきだ。 事件を受け、警察庁は交通取り締まり状況を点検、指導するチームを全国の警察本部に新設する。 ドライブレコーダーなどで検証し、客観的に取り締まりの様子を確認できる仕組み作りなども考えてはどうか。 全国でも警察の不祥事が目立つ。昨年末には、国内最大級の風俗スカウトグループに捜査情報を漏えいしたとして、警視庁暴力団対策課の警部補が逮捕・起訴され、懲戒免職された。 京都府警でも、個人情報照会システムを悪用して第三者の犯罪歴の有無を調べ、知人に教えるなどした元巡査長が有罪になっている。 国民の厳しい目を自覚すべきだ。 交通部門では、4月から自転車の交通違反に反則金納付を通告できる「青切符」制度も始まる。逆走、歩道走行など対象は幅広く、公正さと納得性がより求められよう。 警察全体の信用を取り戻すことが急がれる。