「被害を訴えてきた人々の苦しみや、教団の責任を問う声の積み重ねの結果。一人でも多くの人が被害に気付き、救済につながるきっかけになってほしい」 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元信者で、約30年信仰していた横浜市内の60代男性は、解散を命じた東京高裁の決定をこう受け止めた。 幼い頃、父親は盗んだタイヤを売って逮捕され、母親は別の男性と家を出た。3歳上の兄と、親戚の援助を頼りに生活。21歳の時、勧誘されて入信した。 孤独の中で救いを求めていた。「教団の教えが世界を救う」と信じ込み、戸別訪問販売や勧誘などに打ち込んだ。 しかし、待ち受けていたのは、膨れ上がる献金要求だった。1990年代以降には「日本の使命は世界の国々を養うこと」などと献金を求められ、借金を重ねた。金融機関だけでなく親族や周囲にも「子どもの治療費が必要」などと偽って無心。「売春と泥棒以外なら何をしても良い」と教区トップに言われたこともあった。献金は1800万円超に上った。 要求に追われる中で教団の本拠地・韓国で豪華な建物を多く目にし、「献金は世界平和のために使われていないのでは」と徐々に違和感が増した。信仰が薄れ10年前に教団を離れた。