ロンドン警視庁は4日、国家安全保障法に基づくテロ対策捜査で、男性3人を逮捕したと発表した。氏名は明かさなかったが、スコットランド労働党のジョウニ・リード議員が、夫が中国のスパイ活動の容疑で他の2人と共に逮捕されたと明らかにした。同議員は、夫の不法行為は目にしなかったと説明している。 警視庁はこの日、39歳の男性をロンドンで、43歳の男性をウェールズ・ポンティクリンで、68歳の男性をウェールズ・パウイスで、それぞれ逮捕したと発表した。また、ロンドン、カーディフ、イースト・キルブライドで家宅捜索を実施した。 3容疑者は拘束されたままとなっている。 警視庁は3容疑者について、国家安全保障法の第3条が定める、外国の情報機関を支援する行為をした疑いがあると説明。同法は2023年に制定され、イギリスの国益に反する行為をしたとみられる人物の逮捕を可能にしている。 警視庁によると、捜査ではウェールズとスコットランドのテロ対策警察の支援を受けたという。 リード議員は警視庁の発表後、声明を発表。夫デイヴィッド・テイラー容疑者について、逮捕されたと明らかにするとともに、「何らかの法律に違反した」と疑わせる様子は全くなかったとした。 また、自らは夫のビジネス上の活動には「関与していない」と主張。「私と子どもたちはこの捜査の対象ではない。あたかもそうであるかのように、メディアは私たちを扱うべきではない」と訴えた。 リード氏は2024年、イースト・キルブライドとストレイヴンの選挙区から下院議員に当選した。 声明では、自分は中国を訪れたこともなければ、下院で中国関連の問題で発言したこともないと強調。「私が知る限り、議員となってから、中国の企業関係者や外交官、政府職員と会ったことは一度もない。また、閣僚や誰に対しても、たとえ偶然だろうと、中国の利益を代表して懸念を表明したこともない」とした。 リード氏はさらに、自分は「表現の自由、自由な労働組合、自由な選挙」の価値を信じる社会民主主義者だとし、いかなる意味でも「中国共産党の独裁体制の崇拝者や擁護者」ではないと主張した。 テイラー容疑者は、過去にウェールズ労働党の政治家らの顧問を務めた。また、北ウェールズの警察・犯罪コミッショナーの労働党候補だった。 ウェールズ自治政府は、進行中の警察の捜査についてはコメントしないとした。 ウェールズ保守党はウェールズ議会で、自治政府首相に緊急声明を出すよう求めた。 ■中国の干渉あれば「厳しい結果」もたらされると イギリスはこのところ、中国との経済関係を慎重にリセットしようとしている。キア・スターマー首相は今年1月、英首相として8年ぶりに北京を訪問した。 4日の英議会では、今回の逮捕が取り上げられた。 ダン・ジャーヴィス安全保障担当相は、中国によるイギリスの主権への干渉が証明された場合、「厳しい結果」がもたらされると述べた。 「この政府は、いかなる国によるものであれ、イギリスを標的とした外国の干渉活動に対抗する固い決意を堅持している」 ジャーヴィス氏はまた、英当局者がロンドンと北京にいる中国当局者に、今回の事案について通知したと説明した。 そのうえで、イギリスは中国と「機能する協力関係」をもつべきではないとの主張は「ナイーブ(考えが現実から遊離している)」とした。 一方、最大野党・保守党のアレックス・バーガート影の内閣府担当相は、「イギリスがこうした脅威に立ち向かわなければ、軽蔑され続けるだろう」と述べた。 保守党のケミ・ベイドノック党首はX に動画を投稿。「現職の労働党議員の配偶者が、元労働党議員のパートナーと共にスパイ行為で逮捕されたと報じられている」としたうえで、「中国はイギリスを狙っている。私たちの議員を狙っている。もう十分だ」と述べた。 ベイドノック氏はまた、スターマー首相の1月の訪中と、ロンドンでの新たな中国大使館の建設を英政府が承認したことも批判した。この建設計画をめぐっては、大使館がスパイ活動の拠点として利用され、イギリスにとって安全保障上のリスクになるとして反対する声が出ていた。 (英語記事 MP not seen anything to suspect husband has 'broken any law', after China spy arrests)