【2001年のINTERNET Watch】NTT東西「地域IP網」解放、「Yahoo! BB」サービス開始。ADSLによるブロードバンド環境の普及進む

■ 2001年の出来事 2001年(平成13年)は、21世紀の最初の年でもある。4月に小泉純一郎氏が総理大臣に就任し、「聖域なき改革」「自民党をぶっ壊す」などのキャッチーなフレーズが連日テレビや新聞をにぎわせた。「ワイドショー内閣」との批判もあったが、その人気で同年7月の衆院選にも圧勝している。 海外では、9.11米国同時多発テロが発生。翌10月より、米英軍がアフガニスタンに侵攻した。 無線LAN(Wi-Fi)の話題が出てくるのもこの年。ネットワーク機器関係の情報は当時運営していた「BroadBand Watch」(BB Watch)に掲載しているが、最古の無線LAN親機としての機能を持つ(持てる)ルーターの記事として確認できたのは、8月23日掲載のメルコ(現バッファロー)の、無線LANカードを内蔵できるルーター「BLR2-TX4」の記事。 この年の流行語大賞は小泉語録が受賞。トップテンには「e-ポリティックス」(インターネットを活用した政治)や「ブロードバンド」が入っている。「ブロードバンド」においては、この年に「Yahoo! BB」の提供を開始し、街頭でADSLモデムを無料配布するなどして大きな話題になったソフトバンクの孫正義氏が受賞している。 2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2001年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。 □1. NTT東西が「地域IP網」解放 ▶NTT東西、地域IP網をDSL他社にも開放へ ダークファイバー使用料も値下げ NTT東西は電話サービスのために全国規模の電話回線網を保有しているが、「フレッツ・ISDN」などのため、新たにIP(インターネットプロトコル)による都道府県ごとの基幹ネットワークを運用していた。これが「地域IP網」と呼ばれるもので、やがて、ほかのADSLなどによる常時接続サービス事業者に解放され、各社のサービスが相互接続できるようになる。 このニュースは、2001年5月にNTT東西が、地域IP網の解放と、ほかの通信事業者に提供するダークファイバーの使用料値下げについて、総務大臣に認可申請を行ったというもの。この後、2003年に地域IP網の県間接続が認可され、2006年には、次世代ネットワークとして「NGN」(Next Generation Network)が発表に。2008年3月からはNGNを使用した「フレッツ 光ネクスト」の提供が開始され、現在、かつての地域IP網の役割は「NGN」あるいは「フレッツ網」と呼ばれるネットワークが担っている。 □2. 「Yahoo! BB」サービス開始、ブロードバンドが身近に ▶Yahoo! JAPANがADSLサービスに参入 最大8Mbpsで月額2,280円から ヤフー株式会社が8月にADSLによる常時接続サービス「Yahoo! BB」の提供を開始。低料金かつ高速なサービス設計で注目を集めた。同年9月には、予約申込数が100万件を突破したが接続完了ユーザーは約4万件とのニュースもあり、「お問い合わせの7~8割ぐらいは『ウチはいつつながるの?』というご質問」といった状況が紹介されている。 2026年現在、ソフトバンクグループのインターネット接続サービスとしては「SoftBank 光」「SoftBank Air」が提供されている。 □3. 日本レジストリサービス(JPRS)設立、JPドメインを管理する民間会社 ▶JPドメイン管理の民間会社「日本レジストリサービス」設立 日本のインターネットにおける番号資源の管理を行う日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が、JPドメインを管理する民間会社として、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)を2000年末に設立。汎用JPドメイン(.jp)の移管を行うと発表した。 当時のJPNICは社団法人(2026年現在は一般社団法人)であり、公益法人としてドメインの登録・管理業務を行っていたが、ドメイン名に商業的価値が高まってきたこと、公益法人の体制では増大する業務に対応した設備投資が困難なことなどから民間法人への移管を計画。汎用JPドメインの運用開始とあわせて実施した結果、設立されたのがJPRSとなる。 汎用JPドメインの登録申請受付は2001年2月から開始され、1か月で約7万件の申請が行われた。 □4. NTT東西が光回線サービス「Bフレッツ」提供開始、最大100Mbps ▶NTT東西、最大10Mbpsの光アクセスを月額6,100円で提供 8月より「Bフレッツ」として本格提供へ NTT東西は、2000年12月から試験提供していた「光・IP通信網サービス」を8月から「Bフレッツ」として本格提供。上記の記事タイトルでは最大10Mbpsが月額6100円としているが、同時に最大100Mbpsで月額1万100円のプランも用意され、当初のサービスエリアは東京と大阪の一部で、早いタイミングでのエリア拡大予定も発表されていた。 Bフレッツは、現在の「フレッツ 光ネクスト」を後継サービスとして、2018年にサービスを終了している。 □5. 「小泉内閣メールマガジン」配信開始 ▶内閣メールマガジン、創刊号は78万部 ~登録は91万件を突破 小泉総理は5月の所信表明演説で内閣メールマガジンの発刊を発表。6月より登録受付が開始された。人気を反映して創刊号は78万部となり、「創刊号は14日の午前7時から配信を開始し、配信トラブルを避けるため何回かに分けて配信」された。 その後の内閣にもメールマガジンは引き継がれ、2009年の民主党政権誕生時にも鳩山内閣メールマガジンが配信されている。また、菅内閣ではブログ「KAN-FULL BLOG」の内容が配信されるようになった。 本誌では2021年の「やじうまWatch」で、内閣メールマガジンの流れを汲む首相官邸メールマガジンが人知れず終了していたことを紹介している。 □6. 「ファイル交換ソフト」で世界初の刑事摘発 ▶「ファイル交換ソフト」による著作権侵害で世界初の刑事摘発 11月、P2Pファイル交換(ファイル共有)ソフト「WinMX」で、「Adobe Photoshop」などを交換した2人の日本人男性が、京都府警ハイテク犯罪対策室・山科署・五条署の家宅捜索を受け、逮捕された。これを、ファイル交換ソフトによる著作権侵害で世界初の刑事摘発として報じている。 2000年には音声ファイルに特化したP2Pファイル共有ソフト「Napster」に米連邦地裁からサービス停止命令が出るなどしていたが、WinMXではユーザーから逮捕者が出たことになる。当時説明を行った社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)によれば、10人程度の被疑者の中から「付加価値の高い、ビジネス向けアプリケーションソフトを扱っている」「公開しているソフトの本数が多い」「常時的に継続して公開を行っている」といった、特に悪質および故意であったユーザーとして2人の逮捕に至ったという。 P2Pファイル交換ソフトに関してはこの後、2004年に「Winny事件」と呼ばれる大きな事件が起こる。 □7. 「プロバイダー責任法」成立、各種トラブルにおける情報開示の仕組みが整う ▶“プロバイダー責任法”が成立 権利侵害トラブルにおけるISPなどの損害賠償責任を制限 11月に「プロバイダー責任法」(プロ責法)が成立。これは、ISPや各種サービス提供者に対し、インターネット上に公開されている情報によりプライバシーや著作権などの侵害があった場合に負うべき賠償責任の範囲を規定するもので、サービスのユーザーが著作権侵害やプライバシー侵害などのトラブルを起こした際、提供者側の賠償責任を制限し、「被害者は正当な理由がある場合には情報発信者の氏名や住所などの情報開示をプロバイダーに対して求めることができる」と、いわゆる発信者情報開示請求についても規定している。 同法は2025年4月より情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)として改定された。誹謗中傷や違法・有害情報の投稿といったトラブル対処の迅速化と、措置の実施状況の透明化のために、「大規模プラットフォーム事業者」を指定して、対応の義務を定めている。 □8. 日本標準時のNTPサーバーが実験的に運営される ▶“日本標準時”を正確にネット配信する実験 インターネットを介してPCやスマートフォンなどのデバイスの時計を正確に合わせるために使われる「NTP」(Network Time Protocol)サーバーの実験が、通信総合研究所(CRL)とNTT、IIJ、インターネットマルチフィードの共同で行われた。 この後、2005年に独立行政法人情報通信研究機構(NICT)やインターネットマルチフィードが、NTPサーバーのサービスを正式に開始している。 □9.“史上最強のウイルス”「Nimda」が登場 ▶音声ファイルになりすますメール送信ウィルス「Nimda」に注意 大量のメールを送信するワーム(ウイルス/マルウェア)「Nimda」が9月に確認された。Internet Explorerで感染したウェブページを表示する、Outlookでメールを閲覧するなど、複数のルートから感染し、強力に感染を広げる機能を持っており、同年末に公開された9月の振り返り記事では「史上最強のウイルス」と呼ばれている。 □10. 日本科学未来館に「インターネット物理モデル」 ▶日本科学未来館に「インターネット物理モデル」の巨大オブジェ 7月10日、日本科学未来館が、東京都江東区青海(お台場)にオープン。この記事では、展示のひとつ「インターネット物理モデル」を紹介している。「IPパケットが配達される仕組みを“物理的に”表現したもの」であり、ゴルフボール大の球の動きで、インターネットにおける情報通信のイメージを具体的に見られるもの。同モデルは、2025年2月まで展示されていた。

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