【鳥羽】先月20日に三重県鳥羽市国崎町の沖合で起きた貨物船と遊漁船の衝突事故。遊漁船の釣り客2人が死亡し、10人が重軽傷を負った。鳥羽海上保安部や運輸安全委員会による事故原因の調査が進む中、地元からは再発防止を願う声が上がる。 事故は先月20日午後1時ごろに発生。鳥羽市の石鏡港第2号防波堤灯台から東北東に約6.4キロ離れた海上で、貨物船「新生丸」(499トン)がいかりを下ろして停泊していた遊漁船「功成丸」(16トン)に衝突した。 遊漁船は船体が二つに割れ、釣り客らは海に投げ出された。乗っていた13人は地元漁船や海保に救助されたが、いずれも釣り客で松阪市の谷口幸吉さん(84)と中川元弘さん(67)が死亡。船長を含む60―80代の男性10人が重軽傷を負った。 海保は翌21日、業務上過失致死と業務上過失往来危険の疑いで、貨物船を操船していた二等航海士の杉本波音容疑者(21)=兵庫県洲本市=を逮捕した。取り調べに対して容疑を認めているという。 貨物船は愛知県の衣浦港を出発して岡山県に向かう途中で、積み荷はなかった。関係者によると、速度をほとんど緩めることなく遊漁船に衝突したとみられ、海保は操舵(そうだ)室にいた杉本容疑者の行動など、当時の詳しい状況を調べている。 一方、両船の接近に気付いた周囲の船が汽笛を鳴らして警戒を呼びかけたという。海保は停泊中の遊漁船も見張りが不十分だった可能性があるとして、船長(66)から任意で話を聞いている。 運輸安全委員会も船舶事故調査官を現地に派遣。先月26日までに現地調査を終えた。関係者からの聞き取りなどを継続し、少なくとも数カ月をかけて調査報告書をまとめ、公開する。 ■ ■ 遊漁船「功成丸」は伊勢湾での魚釣りを楽しむことができる遊漁船で、国崎漁港(鳥羽市国崎町)を拠点に活動。事故当日は釣り客12人を乗せ、午前11時40分ごろに同港を出港し、正午ごろには現場付近でアジ釣りを始めていた。 地元の漁業関係者によると、現場付近はアジ釣りに向く漁場で、遊漁船がよく操業しているという。一方、伊勢湾の出り入口付近に当たり、貨物船などの大型船も通る。遊漁船の関係者は衝突を避けるため、大型船の動きに「常に気を付けている」と話す。 貨物船が接近してきたときには、停泊中であってもいかりを引き上げて船を動かすこともあるという。「汽笛を鳴らしても(大型船が)近づいて来ることがある。向こうが見ていない前提でよけるしかない」と話す。 事故直後に一時休止した国崎港の遊漁船は先月23日に操業を再開。別の関係者も「今まで以上に気を付けないといけない」と強調する。訪れた釣り客らも「事故は怖い。二度と起こらないでほしい」と再発防止を願う。