患者間殺人の隠蔽(いんぺい)事件があった青森県八戸市のみちのく記念病院を巡り、宮下宗一郎知事は18日、県庁で記者会見を開いた。同病院を運営する医療法人「杏林(きょうりん)会」(東京、石山菜穂理事長)から10日付で県に提出された業務改善報告書について「前理事長らに責任を押しつける内容だが、法人全体の問題」などと辛辣(しんらつ)な見方を示しつつ「確実な履行を求めていく。不履行の場合は業務停止命令を含む厳しい行政処分を辞さない」と強調した。 同日、宮下知事と県健康医療福祉部の守川義信部長が報告書について説明。医師の勤務時間把握のため、医師に磁気カードを持たせて出退勤時に読み取らせる「電子出退管理」の導入と、組織的にチェックする体制の構築に関し、県は「現時点での実施を確認している」とした。 法人側が医師の正確な勤務時間、勤務内容を把握せず、事実が認められない報告を県に行った経緯・原因について、「前理事長、前理事のコンプライアンス意識の欠如」「職員の両者への忖度(そんたく)」などとした点について、県は「調査が十分であるか評価できない」と説明。法人側のコンプライアンス委員会設置や内部通報制度整備などの再発防止策には、県は「精査中で評価できない」などとした。 会見で宮下知事は「(法人の)経緯・原因の調査は対象となる人、日時、事案が具体性に欠け、改善につながると思っていない」と厳しく指摘。「今の理事長が前理事長の妻ということにも重大な疑問を持っている」と加えた。 法人が前理事長らの逮捕から1年間記者会見を行わなかった点にも触れ「情報発信・開示を求めていきたい」などと語った。 一方で、「県のこれまでの指導監督体制に不十分な点があったことを重く受け止める」と話し、今後の立ち入り検査の方向性を提示。(1)定期立ち入り検査で重点項目を設定(2)公益通報の有効利用(3)医療監視員を国の研修会に派遣-などの5項目を挙げた。宮下知事は「一つの節目だが、事案の終了を意味していない。適正な病院運営が図られるよう立ち入り検査などで、手を緩めることなく指導監督していく」と述べた。 この日、八戸市の熊谷雄一市長も「病院が再発防止策を確実に実行し、地域から信頼される医療機関として一日も早く健全かつ適正な運営体制を確立するよう強く望む」などとコメントした。