関税爆弾や多国間主義の破壊、ベネズエラ侵攻と大統領拉致、グリーンランドへの野望、そして最近のイラン空爆に至るまで、第2次ドナルド・トランプ政権と米国の行動は、グローバルな一極体制の崩壊を示している。 「覇権国家」は軍事力も含むが、より広義の概念だ。資本主義的な世界体制において、全地球的な蓄積プロセスを総合的に調整し、最も優れた生産力・技術力・学知(がくち)生産能力を有し、世界市場をリードし、ルールを定めながら同時にその議論をグローバルな常識にできる国。その意味で米国は第二次世界大戦以降、最近まで覇権国家であった。 しかし、米国中心の国際秩序は、2008年の世界恐慌、2010年代初頭の中国の実体経済における超大国化、イラク・アフガニスタンでの米国の敗北、トランプ型新保護主義の台頭、そして2022年のロシアによるウクライナ侵攻などにより、最終的に2020年代中盤に終焉を迎えた。米国は軍事力に加えて製造業の能力、技術力、支配の言説において覇権国家としての地位を失ったからだ。 ふてぶてしく民主主義への嫌悪を語り、主権国家の大統領を武力で拉致し、人間狩りのように移民を逮捕・拘束、ひいては殺人まで犯し、さらには領土を提供するよう同盟国を脅し、交渉相手国を空爆することは、まるで覇権が依然として健在であるかのように見えるかもしれない。しかし、自らの意向を貫くために合理的手続きよりも横暴に近い政策と武力だけを動員すること自体が、まさに覇権喪失を裏付けている。 ■関税爆弾からイラン空爆まで ソ連出身の知識人である朴露子(パク・ノジャ)教授は、新著『野蛮時代の帰還』を通じて、米国の覇権の崩壊はすなわち「野蛮時代」の到来であると強調している。絶対的強者がいないまま、列強の合従連衡、無限の争いが始まるのである。本来、資本主義の世界体制において「普通の状況」とは、列強間の絶え間ない領土・資源競争を指すものだった。米国も19世紀末の産業化と中央集権的国家建設の最中に、世界的な領土・資源争奪戦に参入し、覇権国家の基盤を築いた。 著者はパックス・アメリカーナ、すなわちかつて最高の経済大国であり、世界の警察、主要な思想の中心地であった米国がどのような過程を経て覇権を失っていったのか、その特徴は何か、列強の合従連衡がどのように行われるのか、そして危機の時代が我々にとって別のチャンスとなり得る点を重点的に取り上げている。 「かつて米国は韓国人にとってほぼ『世界』そのものでした。技術や科学はもちろん、キリスト教から西洋的マルクス主義まで、ほとんどすべてを米国を通じて学ばなければなりませんでした。韓国にとって米国は、依然として重要な外部の変数の一つです。米国は揺れながら下り坂を歩むでしょうが、その過程で韓国にも直接的悪影響を及ぼすでしょう。まさに今、米国の覇権の系譜や軌道を正しく把握すれば、あちこちぶつかりながら衰退の道を歩む米国に適切に対処できる時です」 ■超退行の時代、カモにならないためには 著者は現在の時代を重苦の時代、超退行の時代と表現している。現在の私たちの生活の基盤を成す技術は概ね1914年以前、すなわち資本主義の最も動的な時代である1871~1914年に発明され、その後の技術の進歩はほとんど変奏に過ぎない。一方で、1980~2000年代が単なる退行期だったとすれば、現在は「超退行」、むしろ最悪の退行時代と位置付けている。朴露子教授は、ウクライナやパレスチナで起きている野蛮な虐殺や、気候災害による10億人の気候難民の発生が現実味を帯びていることを証拠として提示している。 さらに、現在のような世界的景気後退局面で覇権争い、すなわち列強の争いが重なると、最悪の反動政治が蔓延することになる。イタリアやオランダ、フィンランド、米国などで超強硬な右派が政権を握っていることも、危機の兆候だ。より大きな懸念は、このような局面で蓄積された矛盾が最終的に大きな戦争を招いた点にある。戦間期に蓄積された矛盾が第二次世界大戦を招いたように、領土と資源を巡る無限の争いは、別の大規模な戦争を引き起こす可能性があるからだ。野蛮な時代の脅威に直面したとき、韓国はどのような生存戦略を講じるべきか?今、私たちは「米国以降の世界」を自ら設計しなければならない。 チェ・ジヌ|ハンギョレ出版人文社会チーム チーム長 (お問い合わせ [email protected] )