現代戦の様相が様変わりしつつある。砲弾を落とす前に電波妨害作戦で敵陣の衛星測位装置(GPS)の信号をまず遮断し、国家の心臓となるデータセンターが物理的攻撃およびサイバー攻撃の第一の標的となる。半導体や電気自動車を製造するための重要な鉱物は、強力な「資源の武器化」の手段となっている。 韓国と共に「ミドルパワー」(中堅国)に分類されるオーストラリアでは、米中の覇権競争の中で世界各地の紛争が激化する地政学的リスクに対応し、独自の技術をもとに戦略産業を確保しようという企業の試みが広がっている。量子航法、重要鉱物の回収、データ主権など、米中対立の歯車から脱するための「技術的解決策」を模索する流れだ。 近年、衛星信号を妨害するジャミング(電波妨害)や偽情報を流すスプーフィング(偽信号送信)は、軍事作戦を超えて民間航空の安全をも脅かす要素として浮上している。この課題を解決するため、オーストラリアを代表する量子企業「Q-CTRL」は、敵対国などのGPS妨害があっても、地球の磁場を検知し位置を算出する「量子ナビゲーション」の技術を3年前から開発している。 米国防高等研究計画局(DARPA)と共同で開発した技術をもとに、極限の環境下でも地表面の細かな磁場の変化を検知し、それを「磁場マップ」と照合して位置を特定する方式だ。地球内部で発生するエネルギーを利用するため、人工衛星から送られる信号に依存するGPSとは異なり、敵対勢力による電波妨害が根本的に不可能になるというのが同社の説明だ。同社のマイケル・ハーシー最高科学責任者は「2024年以降、世界中で1日あたり千機以上の商業航空機がGPS妨害を受けているという報告があるほど、脅威は日常化している」と語った。 技術覇権競争のもう一つの柱は重要鉱物だ。人工知能(AI)や電気自動車などに不可欠なガリウムとゲルマニウムは、世界の供給においてそれぞれ約98%と70%を中国が支配しているためだ。 オーストラリアの新興スタートアップ「ゲガエレメンツ」(Gega Elements)は、鉱山ではなく「廃棄物の山」から重要鉱物を回収する技術で代替案を提示している。モハメド・アセフィCEOは、同社が保有する技術について「従来は50グラムのガリウムを得るために約3トンの鉱山廃棄物を処理しなければならず、廃棄物1トンあたりのゲルマニウム含有量も10~20グラム程度にすぎなかったが、選択的抽出プロセスにより98%の回収率を達成した効率の高い精錬技術」だと説明した。 オーストラリアのIT企業「マッコーリーテクノロジーグループ」は、オーストラリアをグローバルデータの「安全な避難所」にする戦略を推進している。株の97%がオーストラリア資本であることを掲げ、米国や中国などの大国の政治的影響力から自由なデータセンターを提供するという構想だ。 オーストラリアは、2018年に制定された米国の「クラウド法」(Cloud Act)に基づき、米政府が自国のビッグテック(大手技術企業)が保有するデータをいつでも閲覧・管理できることによるリスクを懸念している。実際、昨年2月にドナルド・トランプ米大統領は、イスラエル指導部に逮捕状を発行した国際刑事裁判所(ICC)の主任検事に対する制裁を宣言し、同年5月、その検事のマイクロソフトのメールアカウントが停止された。この事態を受けて、欧州連合(EU)などでデータ主権に関する議論が喚起された。 マッコーリーテクノロジーグループのジェイミー・モス政策統括は「韓国やカナダのようなミドルパワー国は、価値観と規範を共有し、データ主権を共に保護する必要がある」と述べ、「オーストラリアは地政学的安定性の観点から、リスク分散を求める国々にとって安全な代案となり得る」と語った。さらに「5年後、オーストラリアはエネルギーではなくデータセンターサービスを輸出する国になるだろう」と展望を述べた。 ※本記事は、韓国女性記者協会が主催した「2026年オーストラリア・ディープテック研究開発(R&D)および政策」現場取材プログラムの支援(3月18日~25日)を受けて作成されました。 キャンベラ、シドニー/ソン・ダムン記者 (お問い合わせ [email protected])